メモ@inudaisho

君見ずや出版 / 興味次第の調べ物置き場

ABC120 3完 ぐぬぬ

 ABC120 はかなり簡単だったが3完どまり ぐぬぬというところ。

A

 A はまぁ。2分かけてるけどまぁそんなもんか。

B

 B で時間とられてしまった。ついつい最大公約数を出してそれを素因数分解してとか無駄なことをしたんだが、高々100なので直接上からまわして割っていった方が早い。しかも問題が「大きい方からK番目」と書いてあるところでまたつまづいたのだがそれはさておき、無駄なことをしたうえに約数列挙が穴だらけだったので2WAを出してしまった。方向転換して上から舐めたら通った。

C

 おいおいおいなんだこれは。ABC119 のCの難しさに比べると天と地。Bでつまづいてしまったのでよけいに悔しい。逆になにかの罠かと疑って穴がないか考えてしまった。その分時間がかかってB通してから9分で通してる。

D

 D は時間足らず。nCrの関数用意して逆向きのループつくるとこまでやって終わり。

 → 数付きUF木つかうらしい。Bを瞬殺してたとしても実装できなかっただろな。

今回こそ茶色に叩き落とされるかな?

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まだ叩き落とされてない

 残念!まだ緑ゾーンに踏みとどまってます。でもここからAGCが二回来るらしいので次こそ叩き落とされるかな?

零細個人事業主の確定申告のための帳簿の例

去年の収入概要

 去年の収入で一番大きいのは KDP ではなくて、いろいろ書いてたけど守秘義務でいろいろと消した仕事であるが、といっても一ヶ月も働いてないので KDP 1年分の稼ぎの倍はない。ただこれ両方足しても100万越えるか越えないかという感じなので今年はその仕事で取られた源泉税をとりもどせるかもしれない。

 一昨年1月の収入がでかかったのでその収入を確保するべく事業者登録したが、結果的にはその後もっとデカい収入が来てドカンと納税するハメになった。事業者で青色申告したのはしたがあんまりメリットないような気もする。そもそもあまり経費の観念がなく、消耗品費にできそうなレシートもぼんぼん捨ててしまっている。何のための青色申告か。

確定申告のための帳簿の例

 さて青色事業者となると帳簿をつけて保存しておかねばならないのだが、一昨年の分は仕訳帳と決算の試算表・損益計算書貸借対照表しかつくってない。去年の申告のとき、何を保存する必要があるのか税務署の人に聞いたが要領を得た回答はなく、ソフト的にやってるならそのソフトのデータを保存しとけばよいということだった。弥生会計みたいなものを想定してるんだろうが、自作でもいいようなので、表計算ソフト(エクセルではなくて LibreOffice の Calc)で仕訳帳つくってピボットテーブルで貸借の釣り合いを確認して最後に仕訳帳から試算表などひねりだしたわけだ。個々の仕訳さえちゃんとしてればその方式でなんとかなることがわかったのでこれは楽だとおもったが、去年確定申告してから何もせずそのまま放置していたので帳簿を締めて開くところからはじめることになった。来年また思い出すことになると面倒なので思い出しながらここにまとめとく。原則ははずしてないとおもう。流儀はいろいろあり、その流儀の作法で統一してやらねばならないのだが、税理士でもないのでそこまでいちいち書かない。これはあくまで一例です。

複式簿記

 複式簿記は金の出入りにラベルを付して分類し、金の流れを把握しやすくするテクで、今は世界標準の会計の基礎になってる。といってもいろいろ細かいところで国によって違いがあるようだが零細事業主にはあまり関係ない。そこまで複雑なテクもつかわない。税務署の調査が入ればおかしいところを教えてくれるだろうが、零細なので来てくれるかどうか。繰り返しになるが、帳簿は金の流れを把握しやすくするためのものなので、細かいルールがその都度どうかというよりは一貫性が大事になる。この年はこの出費をこれにしてその次の年はあれにしてというのが不正の温床になるわけだ。税務署の調査が入ったときでもルールがしっかりしててその通り運営していれば細かいところは別にして大問題にはならないとおもうが税理士ではないので許容範囲はわからない。

帳簿へのまとめかた

 KDP や原稿料、プログラマ的な仕事しか今までやってないので、ほぼバイトやってるのと同じ程度に月単位仕事単位で入ってくるカネを仕分ける簡単な帳簿になる。他の業種なら在庫管理や日々の売上管理・現金管理とかいろいろあるだろうがそういうのがないので非常に楽だ。

 前はいきなり仕訳帳に全部書いていたが、それだと間違えたときに探すのが大変になる。ということで金の入るところ出るところ別にまとめて書いて、それぞれできっちり入力チェックし、あとで全部仕訳帳にまとめるのが楽だった。つまり経路で押さえるということ。図で示すとこう。

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帳簿上の金の流れ概略図

 この図の一番のキモは事業主貸だ。事業主貸 = 自分の財布 としておけばかなりわかりやすくなる。要は私用の出費は全部そこにいれる。クレカで買い物した中に事業と関係ないものが混るとき、それも事業主貸にしてしまうと後は考える必要がない。口座から金を引き出してその中からなんぼか買って経費にするときも、一度事業主貸にしてしまって、そこから出すことにしたら単純化できる。口座とかカードが混用だと税務署に私生活の金の流れが筒抜けになる。それがいやなら口座・カードを分けることだな。これは自分の場合、事業の根幹で小銭を扱わないので現金を数えなくていいというのが大きな理由になる。レジの開閉するような人はこんなザル帳簿は無理だろう。

 帳簿を具体的にどういうふうに作ったかというと、

  • 売上高
  • 口座(ゆうちょ)
  • 事業主貸 (経費)
  • ガソリン (経費 按分)
  • カード別
  • 控除

 のシートをつくりそれぞれにまとめて書いたのを最後に合体した。売上は口座に振り込まれるが、それを一番最初に別に書き、その他のカード以外の金の動きを口座のシートにまとめる。その次に現金での金の動きをまとめる。ガソリンはそれだけで按分するので別にする。それからカードは別々に明細があるのでそれと口座の動きをまとめる。最後に控除の分は自分の財布から出てるので申告書Bに書きこむために別にまとめる。金の経路別に明細がでてくるのでそれをわかりやすくまとめるだけでこんなことになった。

 そもそもこの金の流れをなるべくシンプルに仕組んでおく必要がある。自分はあまり消費しないし事業の構造が簡単なのでそれまでの生活の延長上でこうしたが、消費が旺盛だったり事業の構造が複雑だったりすると、口座やカードを分けて管理する必要があるだろう。

 おそらくこんなに事業の構造が単純な人はそんなにいないだろうが、副業で KDP や簡単なアフィリエイトやってる人などなら参考になるのでは。

売上高・売掛金普通預金

 売上仕訳の具体例はこう。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
2017-12-31 売掛金 31740 売上高 31740 売上が立ったとき
2018-02-28 普通預金 31740 売掛金 31740 振込まれたとき

 KDPの場合金の振込が月単位なので、月末で売上が立ったことにしている。外国の売上は外国通貨なので、それが日本円にしてどれだけかはアマゾンの都合のせいで振り込まれるまで確定できない。だから12月分が2月末に振り込まれるまできれいにできない。その場合適当なレートで換算して立ててしまい、誤差をあとから修正するという手もある。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
2017-12-31 売掛金 31740 売上高 31740 売上が立ったとき
2018-02-28 普通預金 30009 売掛金 30009 振込まれたとき
2018-02-28 事業主貸 1731 売掛金 1731 振込まれたとき
(源泉徴収分)

 一昨年の仕事などはここに立替金など入ったので面倒くさかった。立替金は自分の財布をバイパスするだけなので問題ないのだが、普通預金が立替金の分だけ膨らむので怪しい。直接出金できそうな場合でもわざわざ立替金立てさせるような組織は小銭稼ぎの腐敗臭がするよな。

事業主貸・事業主借 経費 現金払の場合

 事業主貸は自分の財布だとするとわかりやすくなると書いたが、そこから出たものを経費にするには領収書やレシートを保存しておいて、事業主貸からあらためて引いてその経費の勘定科目を立てる。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
2017-04-17 事業主貸 16000 普通預金 16000 日用の金を引出
2017-04-21 旅費交通費 3168 事業主貸 3168 ガソリン
2017-04-22 消耗品費 108 事業主貸 108 ボールペン
2017-04-22 新聞図書費 540 事業主貸 540

 ガソリンは全部とりあえず旅費交通費に立てている。私用分もあるのでそれは決算のときにまとめて按分処理して戻す。按分というのは私用と業務用が混沌としているものの場合、割合を決めてそれぞれのにわけることで、その割合は自分で決める。なにか根拠があればよい。出費の都度按分する手もあるらしいがそんなのは機械的にやるならいいが表計算で適当にやってるときは面倒なので決算のときにまとめて按分することにした。端数で稼ぐほどの額でもなし。

未払金 経費 クレジットカード払の場合

 クレジットカードで買い物したものを経費に挙げる場合、借方に経費の勘定科目を立て、貸方に未払金を立てる。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
2017-10-06 通信費 390 未払金 390 wi2
2017-12-04 未払金 10000 普通預金 10000 引き落としのとき

 クレジットカードなどはまとめて引き落としになるのでパッと見釣り合わないが、計算したら釣り合う。こういうところの入力ミスは探しづらい。

 自分の金の出入りは単純なのでこんなもんですむ。ネットでモノを売り買いしてる場合は大変だろうな。

元入金・決算

 事業の開始のときに簿記で管理する普通預金売掛金・未払金の現在の額を立てるが、そのとき相手として元入金を立てる。

 決算のとき、試算表・損益計算書貸借対照表をつくるが、これは勘定科目を寄せるだけで簡単にできる。試算表に全部の勘定科目の借方貸方を転記して残高を計算する。ピボットテーブルつかうととよい。損益に関係する項目(売上と経費)を損益計算書、それ以外を貸借対照表に転記するとあら不思議、両方から当期純利益がでる。入力と計算があってればここまですぐに出る。

 按分についてだが、まとめて按分するものは損益計算書の横に整理記入の欄つくってやると楽に按分できる。まとめられないもの(たとえば自分の場合旅費交通費の中のガソリン代)は仕訳の中で年度末に按分の仕訳をいれる。整理記入したものも結局は仕訳帳の中に書きこむ。

 さて決算処理で元入金を損益と事業主貸/借で相殺して次の年に繰りこすとかしてもよいが、ここまで計算が合ってれば、また事業の開始のときとおなじように普通預金売掛金・未払金を立ててその相手に元入金を立てても同じことになる。最初にも書いたが事業主貸は自分の財布なのでその年度末までに私用に消えた額になり繰り越す必要はない。

控除・自家消費

 社会保険控除は自分の財布から出してるので事業の帳簿につけず、証明書だけそろえておけばよい。

 この帳簿は事業のためのものなので、たとえばおやつで何か買ったとか歯医者に行ったとかいちいちつける必要はないし個人事業主の場合福利厚生する相手がいないので福利厚生費などはない。(←これは間違いで自分のための福利厚生も理由がつくなら可能らしい) だれかと飯食いながら仕事の打ち合わせをしたときの食費は交際費にできるとおもうがまだ立てたことない。今回立ててみるかな。そういうと、家だと気が散るのでよくマクドナルドに行くのだが、それも費用にできそうな気がするな。レシート全部捨ててるから無理なのだが。レシートさえあれば何でも経費にできるという説もあるがよくわからない。

結果

 冷静に集計すると、去年の国保料が無茶苦茶高かったので、経費をひくまでもなく課税所得が消滅した。

フリーランス&個人事業主のための確定申告 改訂第13版

フリーランス&個人事業主のための確定申告 改訂第13版

自分でパパッと書ける確定申告 平成31年3月15日締切分

自分でパパッと書ける確定申告 平成31年3月15日締切分

 

AtCoder ABC119 遅刻2完 面倒くさくなってきた

開始に遅刻。AB。

 今日は開始にちょっと遅刻した。一瞬やめようかとおもったが、まぁここまでやってきたんだからと、とりあえず参加ボタンを押す。A,B。意外と簡単で、出遅れたわりにはAを21時10分、Bを21時16分にやっつけてる。遅刻したから時間見たら焦るだけとおもって全部見ずにやったのだが、今みると10分かけずにABやっつけてたな。遅刻しなければよかった。

C

 最大でたった8本だから全探索してもできるだろとおもって適当に実装をはじめたが、結合する場合の組み合わせ考えたら面倒くさくなって開始後1時間くらい(22時頃)で投げだす

D

 お?D案外簡単じゃね? 最近距離の社寺それぞれの最近距離の社寺を比較したらいいんだからこれもグルグルまわして二分探索するだけで終わりそう。。。。と思ったが、python3 なのでTLEするかも、とおもって事前に楽するデータ構造考えようとしたのが間違いだった。終了。

総括

 今かなり AtCoder やるの面倒くさいという気分です。しばらくやめよっかなと思いつつ、茶色に落ちながら続けるのもいいか。最初は初心者がどうのこうのといろいろ書いてたけど、大分自分のレベル感がわかってきて、そういう御託並べてる場合ではなくなってきた。

意外と落ちない

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意外と落ちない

 おかしいな。今回で茶色に叩き落とされるとおもってたのに。意外。どうもAがちょっと難だったらしいな。これ、業務システム系のIT土方だと常識みたいなもんなんだけども、競プロしかやってない人には盲点なのかな? といいつつも実はいちいち / を削ってました。すんません

業務システムモデリング練習帳 業務システムを効果的に設計するための精選45題

業務システムモデリング練習帳 業務システムを効果的に設計するための精選45題

文石科技(Onyx) の新製品 Boox Nova Pro の発売

 秋の新商品発表会で既に計画が発表されていたが、Boox Nova Pro が発売された。アナウンスされてたよりちょっと早いな。既に発売されてる Boox Nova との違いは

  • Boox Nova は電子ペーパー面が額縁式だったが、Nova Pro はフラット

  • Pro はペン入力できる

  • その分20gほど重くなった (Nova 240g Nova Pro 260g)

 あとは変わらんのだがいちおうまとめておくと

項目 内容
サイズ 197.3 x 137 x 7.7(mm)
重さ 260g
バッテリー 2800mAh
電子ペーパー 7.8インチ 1404x1872 300ppi
フロントライト 冷灯と温灯の二種(32段階)
手入力 二指タッチとペン(ワコム)(筆圧4096レベル)
CPU クアッドコア 1.6GHz
メモリ(RAM) 2GB LPDDR3
ステレージ(ROM) 32G
OS Android6.0
無線 WiFi, Bluetooth4.1(2.4GHz)
USB Type-C
ボタン 電源、戻る

 で、お値段だが、文石科技の天猫(淘宝タオバオの高信用版) 公式ショップだと2280元(約37600円 Google20190223)で、2月の間だけ2080元のお得価格。

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天猫の文石科技公式ショップ

   えーと今日どっか香港のショップっぽいところでプレオーダー319USD(約35000円)というのをみかけたんだがあれはどこにいったのか今さがしてもみつからん。限定予約で枠が埋まったから消えたんだろうか。よくわからん。

 (20190227 追加) Facebook で宣伝してたわこれ。いちおう文石科技の海外向け公式ショップという体裁で、319.99 USD つまり 320ドル。

BOOX Nova Pro 7.8 – BOOX SHOP

 以前のアナウンスでは300ドル以下となっていたがそれは守れなかった模様。

 Yota3+ 買ってなければそれみたときにポチってたかもしれんが。うーむ。Yota3+ をどうにかしてしまってこれ買おうかな。いずれ日本でも買えるようにはなるだろう。ただ今持ってる Boox Max2 の Boox OS 2.0の最新版がちょっと 出来わるくてデグレしてる感じなので早いとこ次のアップデートが来てほしい感じはある。

KDPは売れない?

「KDP 収入」「KDP 売れない」

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google

 Google で KDP のサジェスチョンをみるとこんなのが出てくる。実際 KDP だと売れるんだろうか。しかしその問い自体そんなに意味がない。世間一般の商売を考えてみればわかるが、普通商売を始めるには元手が必要になる。飲食だと設備投資もバカにならないし営業許可など手続も煩雑だ。毎月の売上と出費を睨んで計画的に運営しないといけない。モノを売るにしてもなにかしらの対人サービスを売るにしても、どこかになにかしらの固定費が発生するので売上を常に気にしないと、生活がなりたたなくなる恐れがある。そして売上が立たないと商売が詰む。飲食店が出ては消え出ては消えしているのは、目標額稼げたからやめる場合もあるがだいたいなりたたないから撤退するのだ。

KDP には失敗がない

 KDP はそういったものをほぼ考えなくてよい。パソコンや固定回線のネットの契約などあればいいものはあるが、その過程・品質にこだわる必要はなく、最終成果物さえあればいいのだから、最悪スマホだけでもなりたつ。だからまず言えるのは

  • KDP には失敗がない

 ということだ。ここで書いている失敗とは KDP で売れなくてもそれが原因で破産しないということだ。まぁ、Amazon の方の判断で却下されて売り出せない場合や、後からなにか機嫌を損ねて追放される可能性もあるが、それ以外の失敗はないだろう。もっとも書いたものが原因で社会的に抹殺されるとか刺し殺されるような事があるかもしれないが、それは口は災いの元というだけの話だ。

 KDP には失敗がないので、実際に売上がのびない人がいつまでも「売れない」「売れない」と文句を言える状況にある。だからそういう人がいつまでたっても淘汰されないのだが、それが逆に KDP のリスクの低さを証明している。飲食で「売れない」と言ってるだけだと借金せおって夜逃げするハメになるだろう。

 つまり簡単にはじめれるし売れなくても金銭的なリスクを負わないので「売れる」「売れない」が死活問題にはならない。売れるか売れないか、そんなことを気にするよりも出してから様子を見ればよい。何が売れるのか、売ってる方もわからないのだから。たとえばプロの作家が売っても意外と売れないということはあるようだ。出版社の営業力は侮れない。

商売敵は多い

 ただしリスクが低いということは、パクリも多いということだ。実際に商業出版の世界でもどこかの出版社がヒットを飛ばすと、それにつづけとばかりに似たような企画が出て似たような著者の本が出てくる。マンガの世界ならもっとエグいパクリがでてくるが、これがKDPのような無法地帯だともっとひどい。漫画村の画像をまとめて KDP で売った人がいるのはもう犯罪の域だが、そんなことも可能なわけだから、ただ漫然と出していればいいというものでもない。しかし大多数の人が心配することはない。これは「売れた」場合のリスクだ。「売れない」ときはマネされるリスクも少ないのだ。

 ちなみに我が君見ずや出版は国会図書館デジタルコレクションの著作権切れの画像をちょっと加工して売ってるだけなので、マネするのもリスクがない。だからその方式で売れると悲惨なことになる。たとえばこれ。

川瀬巴水版画集1

川瀬巴水版画集1

 川瀬巴水などの大正~昭和戦前期の「新版画」は2010年代初頭には一部で注目されていたが、まだ一般に知られている状態ではなかった。もともと浮世絵や挿画が好きですこしは知識があったのでとりあえず出してみたところ、最初はあんまり売れなかったのだが、その年 NHK 教育の日曜美術館で特集されてから無茶苦茶売れるようになった。これはこのまま飯食えるようになるかなと思っていたところ、当然ながら同じ手法を取ってくる相手があらわれ、値下げ競争となって潰し合いが発生した。その後、売上としては大した数にならないが、入口としてはよい働きをしているようである。

売れないとマネされない

 ただしそのようにモロにパクりに来る人達は欲目で来ているから、売れないものはそんなにコピーされない。だから無茶苦茶売れるよりは細く長く売れる方がよい。これは Amazon が狙っているロングテールのテールの一部になるので、その企業戦略にも合致している。

 君見ずや出版のやったことは、歴史・文学など学術系の人にはおなじみの古籍の覆刻出版なので、自分も違和感なくはじめたのだが、それまで 電子書籍 = テキスト が正しい道で、画像で出す固定レイアウトは邪道と考えるような人が多いところへこういうのを出すのは冷たい目を感じた。が、気にせずボンボン出してたらそのうち Amazon 自体が一冊100円で同じことを大々的にやりだした。これ、最初は Amazon に潰されると思ったのだが、なかなか被せてこないのでそうでもないなと気付いた。要はロングテールを伸ばすための作戦だから、共同作戦の形になれば積極的には潰されないということなんだろう。今では同じようなことをしてるところがいくつもあるが、安藤百福が台湾の鶏絲麺をマネしてチキンラーメンをつくったのと同じくらいの値打ちのことはしたとおもっている。

 つまり売れないと平和。売れないところでは潰しあいが発生しない。無茶苦茶売れるものを必死になって売るよりも物好き相手のあんまり売れないものを売るのが一番いい。

どうしても売れるか売れないか気になる人は

 どうしても売れるか売れないかが気になるときは、どうして自分がそんなことを気にしているのかを気にしたほうがいい。今の仕事がつらいから、そこから脱却したいからKDPに期待をかける、またカネにこまったから一発逆転をかける、また昔から作家になりたかった、など、どこかに現実離れしたところがあるはずだ。なんでもそうだが生活にある程度余裕がないとモノは作れないので仕事がキツキツなら仕事、生活がキツキツなら生活を先に見直した方がいい。作家になりたいならまず作品をしあげてからだ。同人誌を出したことがある人なら同人誌がどれだけ売れるものかわかるだろう。万人に対して同人誌は売れるとは言えない。それとおなじなので、同人誌を出すつもりでとりあえず出せばよい。

価値を考えよう

 売れる売れないを気にして KDP やると早晩パクりに堕ちてしまうだろう。隣の芝生が青く見えて、刈りに行ったりしてしまうかもない。そうなると潰し合いの無間地獄にハマって抜け出せなくなる。まぁ完全に潰されないだけのたくましさを持つことは大事だが、そもそも KDP は誰かに読んでもらうことで成立するものだから、右や左の同業者ばかり見てもしかたない。KDP の売上の数字の向こうには確実にそれを読んでくれた読者がいる。読者その人を満足させる価値を提供することを考えた方がいい。

 価値とはたとえば、読者にとっての未知、もしくは慰安、興奮、陶酔などなど。商業的に成功しているということはその価値の提供に成功しているということだ。しかし、人の考えというのはなかなかわからないものだから、自分が値打ちがないとおもっていたものに値打ちを見いだされることはあるし、自分が当然と思っていることでも人には当然ではなくてそこが値打ちになることがある。本当にわからない。

 確実にこれが売れるなんてものはみんなわからないし、売れてる人なら一種の企業秘密だからそうそう簡単には教えてくれない。とりあえず出すしかない。話はそれからだ。

川瀬巴水版画集2

川瀬巴水版画集2