メモ@inudaisho

君見ずや出版 / 興味次第の調べ物置き場

先週の成果

 8月は発掘バイトに入りだして時間をそれにとられガクンと出版ペースがおちた。しかし売上でいうとすこしは増えている。ただその内容をみると、やはり新しく出したものが多いので、これから先新しく出す量が減るともう伸びず減るだけだろう。まぁそもそも買ってる人がいる事自体不思議なので小遣い程度にせよそれなりに売れているのはありがたい。(せめて数万になってくれないかな)
 とはいいつつも5冊だしているが前の土日とこの土日で出した分を足しているのでそんなもんかもしれん。せっかくなのでそれそれ紹介していこう。

 鉄道教育研究会『図解鉄道知識』昭和17年(1942)
 昭和17年、戦争中の鉄道教育を念頭において、鉄道にまつわる事柄で図面化できることにすべて項目をたて、一目瞭然にした本。図面らしい投影図法ではなくイラスト的図面なので非常にわかりやすい。
 どうでもいいがこれで旧満鉄(南満洲鉄道)の線路脇にたっている特殊な電柱とおなじものが図示されていてなぜああいう形なのかわかった。昔は日本でもああいう電柱つかってただけなんだな。

 鮎川静『漢方医学入門』昭和10年(1935)
 ひらしょーが最近漢方にはまっているのにヒントを得て漢方の一般向けの本を探してみつけた本。専門的なものは分厚いのでやめた。筆者の鮎川静は長崎の産婦人科医だったが、昭和7年より漢方に転じ雑誌に文章を発表したものをあつめたもの。タイトルは入門だが、これは一般向けに漢方を解説したものではなく、鮎川静が漢方に転じての事を書いているので正しくは「入門記」とでもするべきものだろう。まぁ熱意はよくつたわる。

 川瀬巴水川瀬巴水版画集』昭和10年(1935)
 川瀬巴水の版画をその版元である渡辺画版店が集めて出版したもの。1、2の二冊。木版の時代とともに衰退消滅しかけていた浮世絵をなんとか復活させようと苦闘した川瀬巴水と渡辺画版店の作品の集大成といえる。「新版画」といわれ最近各地の美術館でとりあげられるようになり、わりと知られるようになった。ほんとかうそかしらんが、日本でよりも西洋で知られているらしい。明治以降の浮世絵は西洋人向けの商売の面が強くなるからその延長なんだろうか。もちろん大正昭和になって西洋の技法が入ってからのものなので、たぶん現代人からみても江戸の浮世絵よりこっちの方がなじみやすいだろう。浮世絵の延長と考えるよりはアールヌーヴォーとかセセッションとかと比較する方がおもしろい。


 水島行楊『守護天使の事』明治41年(1908)
 正教シリーズ第二弾。東方正教に特徴的な守護天使の信仰について書かれている。なかなか弁解じみてておもしろい。護国天使なんてものまで設定されている。水島行楊は他にもたくさん正教の本を出してておもしろそうなのだがこれ需要あるんだろうか。版面の掃除に手間がかかって一週間かかったのはこれだ。