メモ@inudaisho

君見ずや出版 / 興味次第の調べ物置き場

川瀬巴水戦線に新規参入者

 君見ずや出版 - KimiMizuya -
 えー。サキ出版に敗北して傷心の旅にでかけていた間にものすごいことが起こってました。

 え? これがKindle有料本3位?
 その一日はものすごい量売れててビビったわけですがだからといって旅行をやめて正業に就くようなタマではないので観測しながら放置していたところ売れ行きは急速に落ちすぐに元のレベルに戻ったのでした。では何が起きてそんなことになったのか。

 検索し得た範囲では、どうもこの成毛眞さんがfacebookで紹介し、同時にtwitterの6万8千フォロワーに向けて薦めてくれたらしい。実にありがたいことで、同時にSNSの威力を知った。ある面では社会的影響力を数値で可視化しているツールだともいえるが、では他の人が同じことをしても威力があるのか。
 東京に行ったときに友達に川瀬巴水の話をしたところ、友達がそのtwitterの2万弱フォロワーに向けて似たようなことをしてくれたがこっちは目にみえてわかる効果はなかった。Kindleのような新しい電子デバイスに飛びついて電子書籍をポンポン買うような人達とは縁がないということだろうか。友達は漫画家でそのフォロワーの大部分はファンだろうからそういう社会的な層というよりはフォロワーの相が違うんだろう。成毛さんの方はビジネス繋がりだろうからビジネス以外の面では多様な人のあつまりだろうが、友達のは趣味繋がりだから、こういう趣味的なものは合わない時はとことん合わないのだろう。

 その後青森まで北上し、今度は氷点下の空気に物理的に負けて京都に逃げ帰ってきたのですが、この、ピンポイントで売れて目立つというのは実にやっかいなもので、金の匂いにつられて新たな川瀬巴水叩き売りが誕生していました。
 こちらもサキ出版同様に青空文庫を売ってるところなんですが、やはりサキ出版のようにきわだった特徴を持っています。

  • 表紙のデザインを統一
    • 透けた帯をもったような形にしている。
    • 無駄に凝らないところがかえってよい。遊びは透けた帯に入れるワンポイントの模様
  • 名義は○○全集・出版委員会。全集詐欺。委員会詐欺。
  • サキ出版が編みだしたタイトル付加文の「111作品⇒1冊」みたいなのをパクる

 名前は全集出版委員会としましょうか。全集詐欺なところが実に腹立たしい。サキ出版は売り方がゲーム的でエゲつないだけで仕事は丁寧だし何より正直ですが、この全集出版委員会はテンプレート的に全集を詐称してやがる。川瀬巴水についても全集と言って売ってやがる。あの川瀬巴水版画集は全集なんかじゃないんですが。そもそも東京二十景ですら十五枚しかないんですが。
 で、その自称全集の他に『川瀬巴水・版画作品集【東京三十六景】 』という名前で東京だけ抜きだしたのを売りだしてる。なるほどタイトルはいい。『川瀬巴水の東京』で漏れてた「東京二十景 月島の雪」をちゃんとみつけて足して三十六景にしているところは感心する。それだけならまた負けたとおもうだけかもしれない。しかしね。川瀬巴水の東京』の配列をそのままパクってるのは問題だろ。 こんなの好きに並べたらいいだろ。なんで他人が適当に並べたものをそのままマネするんだ? おまえ月島を見つけたり勝手に三十六景と命名する脳がありながら、その他の事には脳を使わないのか? だいたい川瀬巴水は東京の風景をもっと描いているけど国会図書館デジタルコレクションの『川瀬巴水版画集1・2』にある東京ものはそのごく一部に過ぎない。いいものから選びだして三十六景とするなら川瀬巴水も渡辺画版店もよろこぶかもしれんがとりあえず36集めて三十六景とかどういうつもりだ?

 そういうことでこっちもマネして『川瀬巴水の東京』に「月島の雪」を追加することにしよっと♪

(最初3MB以内に抑えるために外していたのをその後拾いあげそこねていた。自分の好みではないので真っ先に外した覚えはある。)

 まぁしかし後発ほど洗練されているというパターンがここでもみられるのは実に興味深いことで、この次に現われる模倣者はどれだけ洗練されているのか楽しみだ。あと全集詐欺とか委員会詐欺は同じように著作権縛りのない明清の章回小説の出版業者の出版競争でもおなじような現象があるのでおもしろい。