メモ@inudaisho

君見ずや出版 / 興味次第の調べ物置き場

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 君見ずや出版
 除染から帰ってきてからしばらく何もせずボーっとしてましたが寒くなってきてちょっとうごきだしました。


名取春仙『春仙似顔画集』昭和初

 名取春仙(1886-1960)の「新版画」役者絵を集め、版元の渡辺版画店が三十六枚揃として出したもの。そのうち十九枚収録。大正昭和に浮世絵を復興させようと渡辺版画店などががんばって出していた「新版画」の立役者の一人で、役者絵を多数手掛けた。明治末、美術学校を出たころから東京朝日新聞社に勤め、夏目漱石など多くの新聞小説の挿絵を担当したことでも有名。石川啄木の『一握の砂』の装丁もやっているが、これについては朝日で校正係をしていた石川があるとき名取を尋ね、金はないけど詩集を出すので装丁をタダでやってほしいとズウズウしく頼んだのを名取が快く引きうけたというエピソードがある。
 ところで川瀬巴水のときは国会図書館がたまたま『川瀬巴水版画集』だけ公開していたけれど、名取春仙の『春仙似顔画集』はなぜか前半の19枚しかない。川瀬巴水が渡辺版画店から出していたものが多数残っているところからすると、こっちの欠け具合が変なのでだれか盗ったんではなかろうか。


まぁしかしなんですな。動き出したとか書いた途端にインド行きの航空券を買ってしまったのでどうなることかわからない。