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君見ずや出版 / 興味次第の調べ物置き場

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君見ずや出版
 やっと出口王仁三郎全集が終わった。今週は三冊。


 太田牛一・川角三郎右衛門『信長公記 川角太閤記
 織田信長の基本資料である軍記物『信長公記』、江戸時代初に書かれた太閤記の走り『川角太閤記』を合本。『信長公記』は信長が京都に上洛して天下人となってからの十五年間を纏めたという体裁になっており、その前の部分は後から補ったもの。太田牛一織田信長の陪臣で祐筆をやっていたらしくその日記という面もある。編年体になっていてなかなか詳しく、軍記物なのに基本資料あつかいされている。
 『川角太閤記』は太閤記物のはしり。秀吉と同時代の人の回想をもとにしており、内容的にはブツ切れの面もある。しかし物語として整っていないところが太閤記の中では異色で、最後の巻五は九州勢を中心とした逸話集となっている。
 史籍集覧に入っていたのを抽出してきたもの。並んでいたのでそのまま合本としたが、『川角太閤記』は信長の死の年からはじまっており、文中「信長記」として書いてあるものは『信長公記』であり、つなげる意図もあったようだ。 ちなみに既刊の『足利季世記』も戦国時代の京都をあつかった軍記物。応仁の乱の後からはじまり、信長上洛で筆をとめている。先行する軍記物をまとめたものなので、若干価値は劣るが、この三冊でいい具合に戦国時代と安土桃山時代をカバーしている


 出口王仁三郎出口王仁三郎全集 第七巻 歌集』『出口王仁三郎全集 第八巻 我が半生の記』昭和10年(1935)
 大本教出口王仁三郎の全集。やっと完結。第七巻の歌集は上中下の三部構成で上が歌碑、中が昭和初の折々の歌をまとめたもの、下は道歌(宗教歌)。第八巻の「我が半生の記」は出口王仁三郎の半生記で、亀岡での幼少時の事から綾部で出口ナオの教団に入りこみ、牛耳るまでをあつかっている。特に若いころのゴロツキ具合もそれ自体おもしろいが同時に口丹波地方の明治後記の風俗がよく描かれている。また新興宗教民間信仰の事を宗教サイドから描いており、そういう世界のことも垣間見ることができる。