メモ@inudaisho

君見ずや出版 / 興味次第の調べ物置き場

国会図書館デジコレの劣化画像とマイクロフィルム

 まずはこれでもみてほしい。明治27年の電話帳である。

 画像の一部を切りだしたものだが、上部がボヤけている。違うコマでは全面がおかしい。

 以前『鉄道発達史』ndl という本をみているときあんまり多かったのでテジタル化のときの手抜きを疑ってとりあえず「なんでこうなってるんですか」というメールを出してみたところ、2ヶ月後になって「マイクロフィルム全体を再撮影し、すべての画像を差し替えました」なる旨の返事がきて驚いたことがある。実はその本は『提要鉄道発達史』ndl という別タイトルでも電子化されていたので読む分には問題なかったのだ。 というわけで原因はわからず仕舞だったが、それから数ヶ月たたずして毎日見ていたわけでもないのに同じような例をみつけてしまった。なんなんだろう?

 とおもって調べてみたところマイクロフィルムというのは長期保存を期待されているものの、案外たやすく劣化するものであるらしく劣化に関しての情報は多数みられる。
マイクロフィルム保存 手引き (株) 国際マイクロ写真工業社
株式会社ニチマイ :: 劣化フィルム救済対策
 しかも2011年には朝日新聞で記事として取り上げられ、その扇動的な見出しで業界が慌てたことがあったらしい。
「マイクロフィルム 劣化で読めず」記事について
 原因を保存状態と現像処理に帰しているようなのだが、保存状態がちょっとわるいだけで劣化するようなものは紙よりも持たないのではなかろうか。そもそも閲覧するときに汗脂まみれの人体(清潔不潔の話ではなく人体は常に水蒸気と脂を出している)と接触するのは非常に具合わるいのではなかろうか。さらにいえば高温多湿の日本にマイクロフィルムが向いてないのでは。
 アメリカではやってるものを日本に持ってくるだけの商法をタイムマシン商法といってたとえば孫正義のソフトバンクとかその最たるものだが、このマイクロフィルムもそれだよな。白人さまが500年持つと言ってたからといって鸚鵡返しに500年持つと言っていても何も解決しない。こうして劣化した事例があるのをみるとあまり信用できぬ。こんな風に知らない間にどんどん劣化していって原本とデジタル化したデータだけ残るのではなかろうか。となるとなんでマイクロフィルムの制限をうけたデータばかり閲覧させられるのかという不満だけが残る。

 マイクロフィルムをそのままデジタル化しているために白黒やグレースケールの画像ばっかり見せれられるハメになるのだが、それについては前から文句をつけている。
[国会図書館][jpeg2000]国会図書館近代デジタルライブラリのjpeg2000 - メモ@inudaisho 2010/3/1
[君見ずや出版] 国会図書館の浮世絵の画質 - メモ@inudaisho 2014/12/31
 20年前ならいざ知らず、今は途上国の人間ですらスマホをもっていて附属のカメラでパシャパシャ撮る時代なんだからもう原本から直で高精細にデジタル化してそれを大量に複製して保存すればよいのではないか。
 『鉄道発達史』みたいなのは正直なところ別に白黒でもよいのだが、今回とりなおしたのはグレースケールになってた。画集と地図は是非カラーでやりなおしてほしい。