メモ@inudaisho

君見ずや出版 / 興味次第の調べ物置き場

私物化の時代

 今、日本の各組織で責任を持つ地位にあるのは50代後半の人たちだとおもうが、この世代というのは高度成長が終わったあとに就職し、バブルの頃に仕事を覚えてる。もっと上の団塊の世代が仕事を覚えたのは高度成長の時代で、イージーモードだったと揶揄されてはいるが、また一方で競争は熾烈だった。今の50代後半の人たちはそういう競争に身を晒すことなく、ある程度形勢が固まったところで社会に入りこみ、バブルを迎えてる。しかも男女雇用機械均等法施行前なので、会社が男社会だったころの空気を未だにひきずっている。自分が見聞した限りではこの世代が部下の女性を愛人みたいにしているのが多いが、たぶん女性を直属の部下に持った最初の世代だからだろう。島耕作みたいなアホ漫画もこの世代と共にあったわけで、まぁ漫画にあったことをそのままやってるだけというかなんというか。

(20180716 一部削除)

このように組織を食い物にしているのはそこだけの特殊な状況ではなかろう。たとえば考古学業界というのは役所の文化財保存課みたいなところで仕事をしているのだが、文化財保護で工事の前にきちんと発掘調査するようになって全国に文化財保護課がボコボコできたころに就職した人も同じくらいの世代なわけで、全国で妙に考古学関係の展示施設が増えているのも一種の「天下り」のために作られた面がある。そういうふうに自分のためにうまく公物をつかうというのは全国的な現象なのだろう。

 たとえば安倍ちゃんのお友達内閣とか揶揄されてるのもそれに近い面があるのだろうが、そういう風に揶揄している新聞自身が極端に偏って自分の意見に合わせるように記事を作るようになっているのも同じことの現れだろう。目糞鼻糞なわけだ。検察も政権と癒着してるだろと大型捜査を連発するが結果は微妙。日本中いろんなところで、自分が手にした小さな権力を自分のもののように使っている。公と私の区別がつかなくなってきている。派遣業の拡大と就職氷河期によって大量の人間を奴隷化して流動化の海に放りだしたくせに、自分達の雇用はスクラム組んでがっちり守って定年まで離さないのがその上の世代から続いている。上の世代の遺産をしゃぶり、下の世代を奴隷にしてしゃぶっているのだがもうそういったことは長く続かない。20世紀の後半妙に日本の景気がよかっただけなのに、その世界史の流れの中のボーナスステージをボーナスステージだと思わず実力だと勘違いして、実力を育てる方向にカネを使わず集まったカネを皆でしゃぶる方向に舵を切ったわけで、没落するのも自然の成行だろう。

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

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「日本スゴイ」のディストピア: 戦時下自画自賛の系譜

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