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君見ずや出版 / 興味次第の調べ物置き場

カラー(色付)電子ペーパーの一種である CLEARink とレノボの提携

 電子ペーパーといえば今製品化しているものはほぼ eInk社(台湾 元太科技)の独占になっているが、製品化されずに埋もれている技術も多い。紙の印刷物っぽさという点で eInk に勝る製品はまだ出てきていないが、反射光を利用しただけのものなら電卓の表示画面のような反射型液晶などが既にある。しかしこの反射型液晶は地の色が薄暗く、これでカラー化してもあまりよくみえない。

 ところで2017年ごろにでてきた新しい電子ペーパー技術として CREARink というのがある。

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 コスト的には eInk に対して非常な優位があり、応答も優れているものの、やはり白黒比で劣るところがあり、そこがディスプレイとしては致命的で、普及したとしても小型の電子タグや腕時計くらいしか代替できないだろうと予想していた。ところがこのたび、レノボ (Lenovo、北京、聨想集団) がCLEARinkと提携してタブレットの開発を目指すという報道があった。

https://www.clearinkdisplays.com/lenovo-invests-clearink-0www.clearinkdisplays.com

 どういうものをつくるのかはよくわかっていないが、タブレットであることは明記してある。レノボは既に Yoga Book C930で 電子ペーパーLCDの二本立というものを実現させており、電子ペーパーの応用品開発の分野では特殊な用途を切り開いているトップランナーである。そこがそれまでの実績のある eInk ではなく .CLEARink とも提携したというのはやはり eInk の高さや応答の遅さが気にいらなかったのだろうか。紙を比較の基準にすると eInk に軍配が上がるが、紙の再現を目指さずに実用的なディスプレイというだけでみるなら CLEARink にも十分目があるというところか。eInk社の部品が高すぎるのは Yoga Book C930 の値段をみればわかる。さてどんな製品が出てくるのか興味津々ではある。

 ちなみに CLEARink はカラーを前面に押し出しているが、本体は黒の粒子だけでその上にカラーフィルターを載せているということなので、文石科技(広州 Onyx) の Youngy Boox と似たことしてるんだろう。うっかりカラー電子ペーパーとタイトルしてしまったがカラー(色付)に直した。