メモ@inudaisho

君見ずや出版 / 興味次第の調べ物置き場

山国の野上文書と戦国大名 大友氏

(20190827 タイトルを内容に沿うように変更)

18きっぷで関東行

f:id:inudaisho:20190825223831j:plain
某図書館

 貧乏人御用達の青春18きっぷの三回券をtwitterで確保し、ルノーウルトラライト7 を持って、ちょっと関東まで行ってきた。目的は今調べている偽文書に関係する別の偽文書の確認。まーなんというか大らかなところでスマホで撮影できたので用事はあっという間に済んだ。予想していたのは京都に出ていた某家が作成したもの、というものだったのだが、実際に確認してみるとそうではなく山国の某家が作成したものっぽかった。なんでそんなものがそこに蔵書されていたのかよくわからないがまぁおもしろいのでよし。

山国の野上文書と九州の戦国大名大友氏

 ついでに東大史料編纂所も行った。それでおもしろかったのが、山国の大野に野上という家があるが、そこに伝わる文書が複写されていたこと。京都学歴彩館にある古文書群の中に野上家系図というのがあり、大友宗麟庶子と称しているがその接続のしかたが無理矢理すぎて、うそくさーと思っていたのだが、東大史料編纂所が集めた文書をみるかぎりでは、その系図の言うような大友氏の庶子ではないものの、大友氏に仕えていた一族のうちだったようで、まさか本当にそういう繋がりがあるとは思っていなかったので驚いた。

f:id:inudaisho:20190825224003j:plain
東大史料編纂所

 さーて。私、お世辞にも崩し字が読めるとは言えない方で、この東大史料編纂所でも読めるようなふりをしながら、その実、読める字を拾って大体どういう文書か推量していただけ (必要なのは複写して持って帰ってじっくり調べればよし) なのだが、その後国会図書館に行って田北学の畢生の事業である大友史料をめくって野上氏の文書を探してみると、この東大史料編纂所にあった野上文書も翻刻されていたうえに、野上氏についてはあれをみよこれをみよと書いてあるので見てみた。

豊後清原氏の一族 野上氏

 豊後の玖珠郡には豊後清原氏という氏族集団があったことになっているらしい。まぁ資料の少ない地方史だしどこまで信じていいのかよくわからないものの、郡司として着任した人の一族が開発領主としてどんどん私領を広げていったということになっている。(渡辺澄夫「豊後清原氏玖珠郡諸郷の開発 -西国における郡司家と別名・群荘の一例-」別府大学史学研究会『史学論叢』15、1984 ) 逆…つまり有力土豪が地域の中で擬制氏族をつくったのではないかと思わないでもないが、その中の有力な一族に野上氏があり、戦国時代には大友氏の家臣団の中に組み込まれていたというわけ。東大史料編纂所の野上文書によると永禄年間に大友氏の配下としていくつもの戦闘に加わっていたらしい。大友家自体は秀吉の九州征伐で島津家の攻勢から救われたものの、文禄の役での失態で改易されてしまい、その後複数回あった復活戦(たとえば関ヶ原)でことごとく失敗して大名としては残らなかった。そのどこかで野上氏の一族の一人が脱落して玖珠郡に帰らず、山国にたどりついたということなんだろうか。

 山国といわず丹波のあたりの偽史には結構大分県あたりのことがでてくる。もちろんその大きな源の一つは戦国時代の畿内政治で大きな役割を果した大内氏で、その関係者が残した傷跡でもあろう。しかしこの大友氏もその源流のひとつのようだ。というのも、秀吉の九州征伐のときの縁で、大友氏の家臣の一部が大和郡山にいる豊臣秀長を頼っているのだ。中には秀長の死後、さらに津藩の藤堂高虎に仕えた人もいる。社会格差の大きい地方の方が由緒も立派なものが残りやすい(作られやすい)ものだから、江戸時代になってなりあがった人が由緒を飾ろうとしたときに九州あたりの家の由緒は材料として使いやすかったというところだろう。山国の野上氏に関しては、同じような経路でやってきたのかもしれないが、その後大友氏に仕えていたという記憶がなんらかの都合で忘れさられてしまい、あとになって家に残る文書から大友宗麟庶子という伝説をつくって由緒を飾ったつもりになっていたというところだろうか。そういう不自然な由緒を持つ家が他にもある(例えば明智光秀の子孫を称した家がある)のでなんらかの機能があったはずだが今はそこまでは探れない。そもそも全然関係なくて文書自体どっかで手に入れたという可能性もあるがそれについてはあんまり触れないことにする。

このへんでひとまずおいて西北インドのことをまとめる

 最近山国あたりのことを調べていたけれども、とりあえずこれはおいといて西北インドのことをまとめるのに注力する。今、韓国が話題になっているが、ムンジェインがどうこうというのは非常に些細な事で、注目するべきところは統一朝鮮ができるのかどうなのか、できるとするとどういう経路をたどるのか、日本を含めた周辺関係諸国はどこに落とし所を持とうとするのか、だが、それとおんなじで西北インド方面も長年の歴史の歪みが解放されそうで熱いのだ。あのあたりのことであまり人に注目されていないことを調べて途中で放置していたが、ある程度わかったことを書いとくだけでも (叩き台として) 人の役に立つので、それをやる。やるといってもやりきれないかもしれないが、とりあえず宣言だけはしとく。

室町戦国日本の覇者 大内氏の世界をさぐる

室町戦国日本の覇者 大内氏の世界をさぐる

豊後大友氏 (中世西国武士の研究)

豊後大友氏 (中世西国武士の研究)