メモ@inudaisho

君見ずや出版 / 興味次第の調べ物置き場

個人所蔵の古文書はいずれ盗まれ散逸する

山国の野尻家

 うちは京都の北の山中にある京北の山国というところにある。明治大正の政治家・名望家の野尻岩次郎を出した酒蔵ということだが、戦争中の統合で酒の生産をやめ、戦後は資産を切り売りして食っていたらしい。昭和30年代に酒蔵を再開するということで山なんかを売って無理に金を絞りだして再開したということだ。ただし経営が杜撰で、経営といよりむしろ消費という状態だったようで切り売りがやむことはなかったようだ。まぁ杜撰といっても戦後のそのころは地方の酒蔵にとってあまりよい時代ではなかったので再開する時期ではなかったというだけかもしれない。自由に酒づくりできるようになったのはほんの最近のことだ。

 あまり詳しいことを書くと親戚を誹謗することになるので書かないが、とはいっても直接の関係者はほぼ死んでて子孫の代になり、うちの祖母だけしぶとく生きてるのであれだが、うちの親が関東から呼び戻されて継いだときには経営続行が厳しい状態にあり、酒蔵を畳むところから始めたらしい。そういうわけで山奥での生活を立てるのに必死で物置の蔵のことなんかどうでもよかったらしくうちの親は物置の蔵にほとんどタッチしていない。

山国の古文書

 山国は古文書が豊富に残されているということが喧伝されている。長年山国あたりの研究をしている坂田聡はこんなふうに書いている。

周知のごとく、中世の在地文書は、鎮守の神社に残されるか、土豪クラスの上層住民の家に残されるか、いずれあの形をとることが一般的だが、ここ山国荘においては、近世前期の文書どころか、中世文書までもが、各家の所蔵文書として、多くの家々において今日に至るまで代々守り伝えられているのである。これは、他の地域では類例を見ない、特筆に値する事実だといえよう。

坂田聡丹波国山国荘地域の調査をめぐって -古文書の整理・保存と研究のはざまでー」『日本史研究』593、2012

 自分たちのやってる研究の値打ちを強調するために、こういうことを事々に喧伝するたびにその筋に知れわたり、あるいは泥棒のターゲットになるんですけどねぇ。この人たちが知ってるか知らないかは知らないが、うちは2001年の7月(より前)に蔵やぶりにあっている。どうも1999年から2000年頃、つまり坂田聡らが調査団を編成して活動しだしてから数年後、山国の家でゆるいところは何軒も土蔵破りにあっているらしい。うちも相当ゆるいので表から堂々とやぶられたのだが、他の家などは山の方の裏側から穴を掘って入りこまれたところがあるらしい。

 中央大学古書店で売っていた巻子本の『山国荘名主家由緒書』なるものを購入しているが、土蔵破りなどで盗まれたものが市場に出ただけだろう。泥棒は売れる物を畑から採って市場に出したくらいにしか考えてないし、買う方は使えるモノが手に入ったくらいにしか思わない。元の所蔵者以外はwin-winなわけだ。研究者も古文書の畑程度にしか思っていないから似たようなものか。

盗まれる古文書

 まぁしかしうちなんかは実のところ文書的には近世後期~明治大正がメインで古いのはあんまりない。そういうことがわかるのも、高校くらいのころから蔵に入りこんであれくれめくっていたからだ。そもそも2001年に蔵が破られているのを発見したのも自分だ。警察呼んだものの何があるのかはっきりわかっていないので小刀がなくなってるくらいしかわからない。まぁそもそもめぼしい器物は戦後のタケノコ生活のときに売ってしまっているだろう。

 というわけだが、その後も放置しているあいだに知らないうちに誰かが頻繁に入っていたようで、あるとき蔵の二階の窓が開けたままにしてあるのを発見してから鍵をかけるようにした。泥棒の畑として使われていたんだろうか。ところが泥棒だとするとよくわからないのは、うちの由緒に関係のあるものが盗まれているっぽいことだ。たとえばこれ。

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酒造株の箱

 一部ではうちは800年くらい続いている酒蔵だったとおもわれているらしいが、そんなことはない。中世文書の中に野尻という苗字のものが酒をつくっていたらしいことがわかっていてもそれがうちのことかどうかはわからないし、中世から一貫して酒を作っていたとも限らない。わかっているのは文化三年(1806)に酒造株を買ったということだ。

「文化三年弓削清田村清助より酒造百十九石弐斗之株を譲請」

松本通晴「丹波山村の同族組織と村落構造」『林業村落の史的研究』 同志社大学人文科学研究所,1967 p.508

 たとえば「800年前からつづいてる酒蔵」みたいな事を信じている人たちからすれば、逆に歴史が短いことを証明するようなものなので無用なのだがなぜこんなものが盗まれたのかよくわからない。酒造株自体も効力を失っている過去の遺物だ。字がよめないのでありがたがってもっていっただけか、こんなものでも売れるということか。

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こういう感じでなくなっている

 また系図のようなものまで盗まれている。この系図なるものはおそらく幕末のころに山国地域の「 名主家」がこぞって作ったようで、『丹波国山国荘史料』(1958)なんかにある鳥居家・水口家の系図とテイストがかなり似ていた。この鳥居家については17世紀に作られた系図が発見されているが、テイストがかなり違っていることがわかっている。(柳澤誠「鳥居家譜の成立 -近世伝承と中世の実態-」坂田聡編『禁裏領山国荘』2009)。うちのもそのころの認識で系図を作りなおしたんだろう。自分の記憶の中ではその系図中で野尻家は水口から分かれたということになっている。もっともその水口氏系図をみると鳥居家までその枝に入っている。ところが、今わかっていることでは、江戸時代においては野尻家は、鳥居・水口に肩を並べるような重要な家だったとはおもえない。そもそも戦国時代のころの「名主家」名簿の中に野尻がみあたらず近世になってから出現するので研究書では「枝郷か?」などとと推測している。なにか血縁とする理由などがそのあたりにあったのではなかろうか。とおもって水口家系図をみるとわりとおもしろい。

 実は最近そのへんのことをちょっと調べてみているのだが、野尻家は山国の近世の由緒形成の中でちょっと特異な位置を占めているようである。いい意味で特異なのか悪い意味で特異なのか、そこはまだ言い難い。材料が多すぎるうえにまともに研究されてないのでその方面から手をつけようとすると、材料の収集・校訂から始めないといけない。ということで、その幻想の跡をある程度反映しているとおもわれる、幕末版(つまり最終エディション)の系図が残っていれば、その系図だけを調べるだけでいろいろ遊べる(ものが言える)のだが、盗まれてしまってはしかたない。世の中にはまだまだ系図を捏造することで何かを補った気分になれる人もいるんだろう。歴史が古すぎる系図はほぼまちがいなくいくつかの系図を結合して捏造したものであることを考えれば、もともと捏造された系図をつかって系図を捏造しようというのはつまり系図は天下の回り物」ということなんだろう。

 もともと蔵の中の文書なんかは年とってから調べようとおもって放置していたのだが、最近はデジカメで簡単に記録を残せるのだから、とっととそうしておけばよかった。盗まれてしまってはどうしようもない。原所を離れた文書はただの紙切れなのでいずれこの世から消滅するであろう。

禁裏領山国荘

禁裏領山国荘

楽天スーパーSALEで EssentialPhone を買った

EssentialPhone 購入

 さて一度 Amazon.com でEsentialPhone のカラ出品にひっかかったのであるが、そうこうしているうちにOCNの最低契約期間の6ヶ月が終わって6月になったちょうどそのとき、楽天スーパーSALE で EssentialPhone が約2万で放出されたので楽天モバイルMNPしがてらそれを買った。一瞬で消えるかもとおもってまちかまえていたが、売り切れるのに一日くらいかかったのでそこまで気合入れなくともよかった。

6/4購入→ 6/7 到着

 さて購入したのはいいが、OCN の MNP 転出の手続がある。OCN の手続は一日で終わって、6/5 にMNP番号もらったので楽天の手続をすすめるとそれから2日で到着した。東京から京都の山奥まで一日で来たからえらいもんだ。普通は二日かかる。

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届いたもの

 箱は一度開けたのを再度封したようだ。

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よくみると一度開けたあとがある

 このシールをはがすと VOID という字が出る仕組みになってる。もともとそうなのかどうなのかはよくわからん。どういう経路で楽天は入手してるのかな?

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御対面

 ということで出てきました。うーん。なんか新品じゃない感じがあるな... まぁいいか。2万だし。

楽天のスーパーホーダイ

 さてこれ、「自宅MNP」というやつなので、早速手持ちの YotaPhone2 から同封の手順書の楽天の電話番号に電話すると、自動応答でMNP開始。OCN SIM の信号がなくなるまで数時間かかったがその間にAndroidの移行をやる。といっても同じIDでAndroidつかうならバックアップされてるのをそのまま反映すればよいのだが、せっかく素に近いAndroidのEssentialPhoneにゴテゴテいれてたものを再度入れるのはと途中でやめようとしたがなかなか大変だった。それからAndroid9へのアップグレードやセキュリティアップデートなどでいろいろ時間がかかりそのうち YotaPhone2 の信号も消えて楽天モバイルに移行した。

 さて楽天モバイルはスーパーホーダイというやつで、平時でも昼と夕方以外は1Mbpsでるらしい。今まで OCN 500kbps つかっていたがこれが終了してしまうということで、楽天モバイルのこれに目をつけていたのだ。スーパーホーダイは 3000円程度で、2年間は1500円程度になる仕組みだが、OCN 500kdps でもちょっと電話すると3000円を越えていたのでまぁ似たようなもんだろということでこれにした。OCN 500kbps のサービスが終了してしまうのでいずれ転出しようとおもっていたのだ。

 で、その速度だが山奥のWifi つかってるので威力はわからん。京都に降りたときに確かめる。

Essential Phone をちょっといじった感じ

 しばらくつかってたのが YotaPhone2 になるのでそれとの比較になる。いままで遅かったアプリの数々がさっくり動くようになった。ゆうちょ謹製のATM検索アプリがあるが、これが非常に遅く、使いたい場面で使えないことが多かったのだが、ついデータ復元でこれも EssentialPhone に入れてしまい、ためしにうごかしてみるとスラスラ動く。スーパー地図というアプリも遅かったのだが、これもスラスラ動く。メモリの差かSnapdragon810と835の差なのか。  あと意外と電池の減りが早い。Twitter をだらだら見ているとどんどん減っていくのだが、YotaPhone2 の最近の減り方と同じくらい早い。YotaPhone2 のバッテリーはさすがにヘタってきているのでしかたないのだが、EssentialPhone のこの減り方はなんかおかしい。EssentialPhone は個体差がはげしいらしいのでそのせいかもしれん。ただし何もしていないときはまったく減らないのでそのあたりはよくできている。 (20190608 普通に使ったらそんなに減らなかった)

 液晶のせいかもしれんな。YotaPhone2 も Yota3+ も有機ELだったが、EsentialPhone は液晶で、写真をとると干渉縞が出る。そのあたりはなんか安物感がある。あと有機EL向け機能のアンビエント表示、これをためしにオンにしてたからかもしれん。液晶でやっても意味ないんよな。

カメラ

 さて評判のわるいカメラだが、デフォルトのカメラアプリはそれなりによくできている。今までOpenCameraというアプリをつかっていたが、これで撮ると暗所でのノイズが目立つ。評判が悪いのはそれなりに理由がありそうだ。ただ、デフォルトのカメラアプリやGCamで撮ってみると、OpenCamera でノイズで潰れてしまいそうな細部が、潰れずそれなりに撮れている。AIで復元するにも限度があるので、こういう細部が撮れるということは、撮像素子が悪いというよりもノイズがのりやすいんだろう。回路の設計が悪いのか、絶縁が悪いのか、まぁなんかそういうハード的な問題だとおもう。

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比較画像

 こうしてみると OpenCamera はノイズリダクションきかせすぎてる気がするな。GoogleCamera うわさの夜間モードだがこれは結局古いバージョンなので、Pixel3のサンプルでみたような色を強調させすぎた感じがあるのだがこれは夜の風景撮るためのものだとおもえば用途がちがうともいえるな。デフォルトのカメラアプリ、結構いいんじゃないの。というかあれかな。GCam がデフォルトのカメラアプリにかなりとりこまれているのかな。まぁよくわからんがノイズの問題が力技で解決されてるならそれはそれでよい。

はじめてLTEB19をみる

 しかしこうして個々比較してみると Yota3+ も悪くはなかったな。ところで Ytoa3+ を手放した一番の原因だったプラスエリアの問題だが、山奥の家の中で LTB B19 掴むのを確認。これで3G固定からやっと解放されました。

ケース

 ケースは結局 Amazon.com で注文したときについでに買ったのをつかった。下にリンクはっとく。ガラスはまだはってない。

Kingrow K1 の Kingrow は 深圳の晶久瑞電子科技

深圳 の 晶久瑞電子科技有限公司

 indie gogo で出てきた電子ペーパースマホの Kingrow K1 についていろいろと書いてきたが、どこが計画しているのかわかった。深圳の晶久瑞電子科技有限公司だ。

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晶久瑞のサイトのキャプチャ

 百度掲示板で発見した人がいた。ありがとう。ということでサイトへのリンクもはっておく。

www.kingrow.net

学生版 公開版 国際版

 ということで、このサイトの情報をみていく。まず製品だが、「学生版」「公開版」「国際版」の三つあるようなのだが、実際のスペックを比較してみるとすべておなじで違いがわからない。同じものに違う名前をつけて三つバージョンがあるように見せかけているんだとおもう。

 ところで気になるのが学生版だな。なぜかというと、2018年の8月、中国 Yota が次年度の新製品として、電子ペーパー面だけの学生向けの学習スマホを出すという計画を出していたからだ。

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電子ペーパー学習機」

 こうして比べてみると、似ているかどうかは微妙なところで、上の電子ペーパー学習機はわりと丸こいが、Kingrow K1 は角ばっている。ところで Yota が閲文集団らと提携を発表したのが2018年の6月で、Yota が破産した直後に 、その閲文集団からその成果とおもわれる口袋閲が出たわけだが、その夏ごろから計画的に事業を外へ出していたとすると、この学習機も計画的に外へ出していた可能性はあるよな。

会社の歴史

 ということで、この会社の歴史をみてみると、こんな感じだ。

年月 記事
2017年11月 会社成立
2018年2月 ブランド登録
2018年4月 生産許可を得る
2018年6月 製造ライン計画
2018年11月 試作品成功
2018年12月 営業開始

 この会社がYota の事業を計画的に外へ運び出すためのものと仮定して疑いの目で眺めてみるとおもしろい。2017年11月に会社ができてるわけだが、Yota3 が発表されたのが2017年の9月で、出てすぐに悪評が立ちまったく売れないことが明らかになったのだから、YotaPhone2 の借金も返せてないのに Yota3 で新たに借金を背負うこととなって、倒産必至は目にみえてたのではなかろうか。その後 Yota3 をたてなおす努力をしつつも一方で事業を逃がす努力もしたということではなかろうか。

 それで気になるのが、閲文集団の口袋閲のチームとこの Kingrow のチームだが同一なのか別なのか。なにせ、5.2インチ 1280x720 っていう規格が Yota3 だけのために特注で用意されたものなので、よくもわるくもなんらかの繋がりがあるのは目に見えている。それをごまかすために 5.17インチと言ったりしてるわけだが、さすがにわかるぞコラ。まぁ撤退戦をやって再起を期すのはいいのだが、Yota3+ というババを引かされたこっちとしてはちょっとね、恨みに思うよね。

always-on-display

 さてそういう事業上の勘繰りはおいといて、この Kingrow K1 だが、indie-gogo の応答コーナーによると、電子ペーパー面は YotaPhone2 とおなじように Always-on-display らしい。今、有機ELアンビエント表示というのでパクられていはいるが、always on display はもともと YotaPhone が実現させたものだ。電子ペーパーの中国のAndroid機器はそのへんあんまりわかっておらず、Sleep にはいるとわけわからん壁紙を表示させてしまっていて、よくわからずに適当にモノつくってる感じしかなかったのだが、Kingrow K1 はどうもその点クリアしているらしい。(彼等の言うところが本当であれば。)

 ということで、だれか買って報告するとおもうのでそれを待ってればいいのではなかろうか。

金鳥の渦巻 蚊取り線香 30巻 缶

金鳥の渦巻 蚊取り線香 30巻 缶

『戦争は女の顔をしていない』等を借りてきた

『戦争は女の顔をしていない』

 最近『戦争は女の顔をしていない』のコミカライズが始まったということだ。

comic-walker.com

 おもしろそうだったので邦訳を京都の公共図書館でコンプリートしてみた。

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スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 著作 邦訳

 このスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチであるが、ノーベル文学賞をとったことも『戦争は女の顔をしていない』の存在も知らなかった。上の写真の中に『アフガン帰還兵の証言』というのがあるが、その英訳版を読んだことがあり、他の著作について調べたときに目にしていたはずだが、まぁアフガニスタン関係ではなかったので探す気もなかったんだろう。

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 著作邦訳一覧

 さて上の写真の本を発表順にアマゾンのリンクで示すとこうなる。

戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫)

戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫)

ボタン穴から見た戦争――白ロシアの子供たちの証言 (岩波現代文庫)

ボタン穴から見た戦争――白ロシアの子供たちの証言 (岩波現代文庫)

アフガン帰還兵の証言―封印された真実

アフガン帰還兵の証言―封印された真実

死に魅入られた人びと―ソ連崩壊と自殺者の記録

死に魅入られた人びと―ソ連崩壊と自殺者の記録

チェルノブイリの祈り――未来の物語 (岩波現代文庫)

チェルノブイリの祈り――未来の物語 (岩波現代文庫)

セカンドハンドの時代――「赤い国」を生きた人びと

セカンドハンドの時代――「赤い国」を生きた人びと

 『戦争は女の顔をしていない』が女、『ボタン穴から見た戦争』が子供、『アフガン帰還兵の証言』がソ連のアフガン侵攻、『死に魅入られた人びと』がソ連崩壊と自殺、『チェルノブイリの祈り』が原発、『セカンドハンドの時代』がソ連。今岩波現代文庫で容易に手に入れやすい三点が『女の顔』・『ボタン穴』・『チェルノブイリ』なのはまぁ受けがいいのを選んだというところだろうか。女・子供・原発はどっちかというと被害者の面が強いが、アフガン帰還兵なんかは戦争犯罪暴露本の趣きがあるので今更読みたくないというところだろうか。

「気持ち」の歴史がタブーを掘りおこす

 まだ『女の顔』の半分くらいしか読めてないが、最初の方にこんなことが書いてある。

わたしが気づいた限りでは、より正直なのは一般庶民だ。看護婦、料理係、洗濯係だった女たち。そういう人たちは、新聞や本で読んだ言葉ではなく、自分の中から言葉を取り出す。自身で体験した苦しみからでてくる言葉だ。不思議なことに、教養のある人ほど、その感情や言葉遣いは時代の常識の影響を受けている。


普段なら目に付かない証言者たち、当事者たちが語ることを通じて歴史を知る。そう、わたしが関心を寄せているのはそれだ。それを文学にしたい。しかし語り手たちは証言者であるだけではない。証言者というよりもむしろ役者であり、創作者であったりする。リアリティとわたしたちの間に気持ちがはさまる。それぞれの解釈を対象にしているのだということ、それぞれが解釈をもっており、それがたくさんあつまり、交差しあい、時代の、その時代を生きた人々のイメージが生まれる。

 堅苦しい公式的な戦争談をスルーして、その隙間にかいまみえる「気持ち」を掬いとり、戦争のある一面を抉りだすという手法なわけだが、そうやってそれまで表に出てこなかった、総力戦を戦った女性のものがたりを紡ぎ出した。普通それは直接歴史とみなされるようなものではなく、彼女が言うように歴史事実をある程度反映した「文学」のジャンルにいれた方がいいものなのだが、そのようなものがソ連のタブーを掘り起こすことになったのは諸事プロパガンダ臭の強かったソ連という環境だったからなんだろう。今でも綺麗事の好きな人たちがソ連の美夢を追いかけているのを日本で観測できるくらいだ。彼女はその手法でそれまでかえりみられていなかったアフガン帰還兵・チェルノブイリ周辺の聞き取りをやって、世界的にはジャーナリストとして扱われるようになったわけだ。英語版のWikipediaによると、英語圏では彼女の出世作の『女の顔』よりも『アフガン帰還兵』『チェルノブイリ』の作者として知られているらしい。

20世紀はプロパガンダ、21世紀はディスインフォメーションの時代

 さて。20世紀がプロパガンダの時代とすれば、21世紀はディスインフォメーションの時代で、既にそういう「うそ・おおげさ・まぎらわしい」情報が世間に溢れている。真実を提示すればみんな納得する、という前提がパロディになりつつある時代だ。ソ連末期に意味のあったこの作品が、21世紀前期の日本でマンガ化されるとき、どういう意図でどのように料理されるのか、じっくり観察するのもいいのではなかろうか。

comic-walker.com

小米(XiaoMi シャオミ)「系」の電子ペーパー端末の予告

小米有品の広告に釣られた諸媒体

 小米 (北京 XiaoMi シャオミ) の電子ペーパー端末が出るという観測は前からあったので、その見込に基いて小米有品で出た iReader T6 の広告に釣られた人たちがいたが、そういうことを書いておもしろがっていたら、 米Amazonで詐欺業者にひっかかってしまったので人を呪わば穴二つ。

 とにかく中国国内での電子ペーパー端末市場は漢字の壁で諸外国からはよくわからない面もあるので、ついついひっかかってしまうのも無理はない。海外から隔離された謎の大市場が広がっているわけだ。昨今ファーウェイが排除されそうというので大騒ぎだが、そもそも中国市場は外国の影響を排除しようとする傾向が強いので、何をいまさらという感じだし、ジャパンパッシングの記憶がある老人は中国の肩を持ちたがるかもしれないが、中国もアメリカも日本企業を都合よく使おうとしているのは同じで、そういう視点に立てばまだ英米圏の方がフェアなので、サヨク系老人はなるべくすみやかに死滅してもらいたい。

「墨案智能電子ペーパー」が2019年5月30日登場予定

 それはいいとして、中国の電子ペーパー端末界にまた新顔が登場するらしい。「また」といっても全容を把握していないので、またもくそもないのだが、それはそれとして、これを出す「上海墨案智能科技」は小米からの出資を受けているらしい。

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墨案

 実は前回、iReader T6 に釣られたのは外人だけでなく、中国人もかなりたくさん釣られていて、その情報が中国外の媒体にまで広まったというのが真相なので、中国人もそのことについては若干トラウマ気味。今回は「これは小米の電子ペーパーではない」と強調する人が多い。そういう人たちが必死に情報を出してるので全然調べなくても情報が手にはいる状態だが、それをみると「ではない」とまでは言えないんだな。

「小米生態鏈」の上海墨案智能科技

 上の予告画像にも書いてあるが、この上海墨案智能科技は小米の「生態鏈」なるものに入っているようだ。これは「エコシステム」をもじった「エコ」チェーンとでもいうようなものらしいが、まぁ小米がどの程度まで関与してるのかよくわからんので小米が投資してる会社だということにしよう。小米はもちろんスマホメーカーとして出発したのだが、最近はその路線をマネしたファーウェイやOPPOなどに押されてしまっているので、総合家電メーカーにチェンジすることにしたらしい。その多角経営化の一つの手で、ベンチャーに投資し、いい製品が出たら小米生態鏈で売り出すという形のようだ。そこから出たものが小米の製品として流通することもあるらしいので、この「墨案智能電子ペーパー」を小米の電子ペーパーではないと強弁するのは得策ではない。小米本体に経験のない事業なのだから、別の企業が担当しててもおかしくないのではなかろうか。そして生態鏈という仕組みがあるのだから、「ほぼ小米」の電子ペーパーとみてもよいのではなかろうか。

 そもそも、この広告が出たのも小米が2012年に買収した電子書籍プラットフォームの「多看」上だし、小米が電子ペーパー端末を出すという観測もその多看があるからなので、これがそれと思ってよいのではなかろうか。

大きさは 10.3インチ?

 本来の値段は2999元(47597円 Google20190526)とそんなに安くないので小さい端末ではないだろうが、これについて百度掲示板で、上の画像のボタンの大きさを約1cmとして、だいたいの幅を計算した人がいて、その観測からいうと10.3インチのものだということだ。DPT-CP1 や Boox Note 、 Likebook Minus 相当ということか。携帯する筆記具/PDF閲覧器としてはちょうどいい大きさのゾーンなので売れそうなところに飛びこんできたというところかな。値段的にはちょっと安めになってる気もするので、7.8インチでもおかしくはない。それだとノートよりもリーダー寄りになる。本当かどうかは5月30日までわからない。

20190528 スペックが一部判明!

 百度掲示板にスペックを貼った人がでた。

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20190528_ 墨庵智能電子ペーパースペック

 おぉ。ということで10.3インチで正解。

20190529 EeWrite との関係?

www.indiegogo.com

 同じ10.3インチだが、あんまり似てないように見える。EeWrite の E-pad はSIMも入ってるし。違うのでは?

油条と小米

 じぇんじぇん関係ない話を最後に書いておくが、中国の朝飯というとすぐ油条(ヨウティアオ)と言う人たちがいる。中国に留学したりした人でもそんなこという人がいるんだが、あんな油っこいもん毎朝食えるってのが理解できんのよな。まぁ豆乳はいい。しかし豆乳と合わせて食うなら饅頭(マントウ)だろうと言いたいし、もっというなら中国の朝飯界にはもっとあっさりした粥というものがあるんだよな。他にもいろいろあるが、粥が朝飯にちょうどよい。粥といっても米の粥というよりもこの「小米粥」が軽くてよい。中国語でいう小米はアワ(粟)系統の雑穀。要はアワ粥だ。それと豆腐脳(おぼろ豆腐)を食べるとちょうどよい。あれば、の話だが豆乳があるんだから豆腐もある。だいたい普通の料理が油ギトギトなんだから油分はありあまってる。こういうあっさりしたのがないと体がもたん。あと中国のスーパーに行くと日本でいう「雑穀類」がいっぱいあって、アワ・キビ・ヒエなんてのが何種類もあるうえに、モチアワ・モチキビとかまである。自炊するならこのモチキビがおすすめ。安いしうまい。

 といってもここ6年くらい中国に行ってないし次行くのはいつになるか... 最近雲行きが怪しいのでまたしばらく行きづらそうだな。