NXTPAPER は何なのか
すこし前にTCLがNXTPAPER技術を使ったスマホの発表があったが、その paper-like 「紙のような」という売り文句を誤解してeInk社の電子ペーパーだと思って記事を書いてるのをみかけた。NXTPAPERは実物をみてないのでなんともいえないところはあるが、ネットでの情報をみると、すくなくとも我々が「電子ペーパー」と聞いて思いつく eInk 社のような方式ではないようにみえる。前に記事を書いて反射式液晶ではないか?みたいな事を書いたが、そうとも限らないようだ(twitterで指摘した人がいる)。では何か?
NXTPAPER は未来紙
中国での報道をみると、NXTPAPER は未来紙と紹介されている。ではその内実を公開資料であれこれ書く前に一応その筋で有名な Good e-Reader の比較動画を紹介する。
みてわかるように液晶である。ではどこが「未来紙」なのか? Reddit なんかの口の悪いところで情報をみると、NXTPAPER について" multi-layered LCD" と揶揄している人もいる。これは別に秘密でもなんでもなく、TCL自身がそのように紹介している。ではTCLの着眼点はどこかというと、どうも液晶の表面処理に改善の余地を見出しているようだ。
液晶などの発光体の画面を長時間みていると目が痛くなるというのは全員ではないがかなりの人がそう思っているようで、だからこそ電子ペーパーのようなものの市場が残っているし、根拠薄弱とかいわれながらもブルーライトカットの機能や眼鏡は普及している。自分も冷陰極管バックライトの時代には目がそんなに痛くならなかったが、LEDバックライトの時代になってから長時間見るのは痛く感じてしまうようになった。(しかしそれは単純に年のせいかもしれない)
最近発表された TCL NXTPAPER 11 は NXTPAPER 2.0 といってNXTPAPERの第二世代になったとアピールしているので、その一つ前のタブレット TCL NXTPAPER 10s のサイトをみてみる。
これによると、NXTPAPER のpaper-like の売りは三つある。
- low blue light
- Anti-glare viewing
- No yellowing
つまり1 ブルーライト、2 まぶしさ、3 黄色味、をそれぞれ抑えるのが要点というわけだ。
そして第二世代になると今度はさらに明るさをアピールしているので、第一世代の要点は押さえて何が目の痛さをもたらすのか把握できたのでさらに改良したということになる。
表面処理改良の波
表面処理に凝りだしているのは TCL だけではない。
ファーウェイ(华为)も今年新たに MatePad の PaperMatte Edition というのを出してきた。パネルをつくってるのがどこかはよくわからんが、やっぱり表面処理に改善の余地があるとみなしているのはわかる。
あと液晶を駆逐する勢いの有機ELでも画面表面の改良の動きがある。
このマイクロレンズは図をみるかぎりではカラーフィルターの上に配置して光をより有効に使えるようにするものらしい。有機ELなのにカラーフィルターなのはもちろん今の大画面有機ELは白色有機ELの発光体の上にカラーフィルターを置いて大画面化を実現させたLGの方式のものなので、そのフィルターを置くことによる弊害があった。という事がこのマイクロレンズ方式で改善されるとアピールしている点でわかる。つまりそれで改善されるとアピールされてる点が今の方式でのよくない所ということだが、
カラーフィルターとの干渉
視野角によって三色の乖離があり、色がつく
ということで、どうも大画面の有機ELは角度によって変な色がみえるのは問題点として既知の事だったらしい。前に有機ELテレビ買って返品したことあったけどまぁそれはそういう仕様だったということのようだ。
しかし当然ながらこれ液晶にも応用できることなので表面処理の競争がはじまるかもしれない。とにかく今の液晶なり有機ELなりはなんか目に来るものがあるのではやいとこなんとかしてもらいたい。