「最後の忍者」「甲賀流忍術第十四世」「陸軍中野学校で教えた」こういう肩書きをもつ藤田西湖の著書が2016年著作権切れということで国会図書館デジタルライブラリで一般公開になった。既に忍者関係の本を出している君見ずや出版としては、是非とも出したい逸品で、日本に帰ってきてとりあえずやる気もでないのでこれを最初に出そうとしたのだが、あれこれ作業を終えてアップロードすると、Amazonからまた著作権についての確認メールがきた。そこで作業的にwikipediaの記述を丸写しして返信したのだがそれからしばらくして重大なことに気付いた。
昭和41年(1966)1月4日... おっと。著作権が切れるのは死後50年の翌年一月一日から。つまり藤田西湖の著作権が切れるのは来年2017年1月1日である。これ出せないんじゃないの?というか公開できないんじゃないの? そこで、国会図書館の著作権データベースをみてみた。
藤田, 西湖, 1899-1965 - Web NDL Authorities
生年没年ともにwikipediaにのっているのとはちがうが、その出典は「どろんろん」らしい。『最後の忍者どろんろん』という藤田西湖が生前1958年に出した自伝的な本があるがそのことだろうか。生前に没年がわかるわけがないので、その再版か復刻版なんだろうか。
もっと確実な典拠を得るべく、とりあえず右京図書館にいって朝日新聞の記事データベース聞蔵で訃報をさがしてみたところ、一発で出てきた。
藤田西湖 (本名、勇治 = 甲賀流忍術十四世)
四日午前零時五分、肝硬変のため、東京都文京区根津( 詳細は略す )の自宅で死去、六十六歳。告別式は十一日午後一時から台東区谷中の加納院で。
まぁ、遺族が正月明けに葬式をするために新聞屋には正月明けの死亡でのせてもらったという可能性もないではないが、ここではそこまで調べられない。右京図書館の有料データベースはしょぼいので朝日だけ。著作権は切れてないとみてよかろう。国会図書館が典拠にした「どろんろん」がどんなものかわからないが、忍術とか武術とかはウソハッタリが普通の世界なので、復刻した出版社も生没年程度のことすら適当に扱っていてそんなことになったのかもしれない。
というわけで国会図書館にチクりメールを出してAmazonの方はとりさげることにした。ぐぬぬ
藤田西湖についてはこちらも参照
藤田西湖の出身地 - メモ@inudaisho 2016/04/04
藤田西湖の新聞スクラップ - メモ@inudaisho 2016/04/12