メモ@inudaisho

君見ずや出版 / 興味次第の調べ物置き場

新刊案内

君見ずや出版
 今週は3冊。前の日記で書いてたのはテキスト化してたんですが内容をみて保留。


 月岡芳年芳年武者旡類』明治16-19年(1883-1886)
  『皇国二十四功』明治14ー20年(1881-1887)
 月岡芳年(大蘇芳年)の明治10年代のシリーズ二つ。「芳年武者旡類」はその名の通り武者絵のシリーズですが、中世武将だけではなく、上古の日本武尊武内宿禰などまで含んでいます。「皇国二十四功」は功とあるので国家の忠臣とかそういうのでもあつかってるのかとおもえばそうではなく、感動的な物語を持つ人物を描いたものでそれこそ和気清麻呂の忠臣系や武士系の他に農民・女中・少年・姫までなんでもあり。
 皇国二十四功は明治10年代の出版のあと、芳年死後の26-28年に再版されたものがあり、国会図書館には両方あったので、並べて見れるようにした。色がかなりちがうので較べるとおもしろい。
 芳年武者旡類の方は全33枚ですが国会図書館には25枚目までしかなく、あと4枚をロサンゼルス郡美術館、1枚を米国議会図書館からもってきたものの、コンプリートできず。大英博物館とかつかえばできるんですが、見るだけならいいけど商用利用は相談してね($)という形なのでどうももって来づらかった。どっかいいとこあったら教えてください。

 歌川広景『江戸名所道化尽 青物魚軍勢大合戦之図』
 歌川広景の滑稽江戸名所シリーズ「江戸名所道化尽」に野菜と魚の戦争を描いた青物魚軍勢大合戦之図を合わせて出しました。
 「江戸名所道化尽」は全50枚ですが国会図書館にあったのは39枚。題材が卑近なので逆に江戸後期の風俗をつたえていて貴重です。スイカを船にのせて流して売っていたとか、雪ダルマの形とか、いろいろわかることがある。「青物魚軍勢大合戦之図」は野菜と魚の戦争の絵で、一見滑稽千万なものですが、これもいろいろ解釈があるようで、当時流行っていたコレラ(安政コレラ)のために、コレラを媒介するものとして魚介類の値打ちがさがり、野菜の値打ちがあがったことを表わしたというのが表から見た見方です。さらにこれが当時、次代将軍をめぐって水戸派と紀伊派が争っていたのを揶揄したものという見方もあり、後日この絵と諸国諸城の絵図を横浜の外人に贈ったという理由で広景は捕まっています。