メモ@inudaisho

君見ずや出版 / 興味次第の調べ物置き場

固定レイアウトの目次の件で Amazon とやりとりした話

 決して下賎の者どもとは直接交渉しない Amazon 様が珍しく具体的な内容を指図してきたのだが、結局待たされたままになっている顛末を書いておく。

和英英和語林集成 第五版

和英英和語林集成 第五版

 Amazon クオリティから直々にこの『和英英和語林集成 第五版』の目次について物言いがついたのが2017/8/2。要件としてはhtml目次が読めないのでたぶん背景の設定がおかしいから直せということだった。目次なんか色も何も設定してないのだが何がおかしいのかわからない。とりあえず目次にすこし手をくわえて直したのをアップしといたらやっぱりまだおかしいということである。

 確認は Kindle Previewer でしかしてないのでためしにオンラインプレビューアでみてみるとたしかに背景が薄暗くなっている。ということをあらためて相談してみると、今度はもっと具体的なことを言ってきた。

  • 論理目次はちゃんと作ってあるので問題なし。固定レイアウトにhtml目次はいらないので削除して。

 おぉ 根本的解決。それができたらグレイトだぜ。できたらの話だが。

 html 目次つくらなくていいのなら手間が減るので大歓迎なのだが、問題は二つある。

 まず一つめは全ての端末で論理目次が対応しているのか、という点だ。html目次を熱心に作るようになったのは最初 Android 端末の Kindle アプリで論理目次が動かなかった事がある。今では動くようになったがさて全ての端末で論理目次が動く保証があってそういうことを要求しているのか?

 二つめは論理目次の仕様…というよりバグだ。Amazon の仕様では二階層までを許容しているが、その階層の変わり目が固定レイアウトで同じページにあったとき、エラーを吐く。これは以下の記事で書いたのだがリンクの下からあらためて説明する。

d.hatena.ne.jp

 固定レイアウトのページを page-n とし、その画像になんか文章が書いてあって、章と節に分かれていたとする。

  • 第一章 (page-1)
    • 第一節 (page-1) ←問題なし
    • 第二節 (page-1) ←警告
    • 第三節 (page-3)
    • (略)
    • 第十二節 (page-11)
    • 第十三節 (page-13) ←エラー
  • 第二章 (page-13)
    • 第一節 (page-13) ←問題なし

 のような目次構造の場合、第一章第十三節の存在が不正とされる。目次というのは単なるハイパーリンクなので、普通のテキストの場合は同じ箇所に行くことはあまりないのだが、固定レイアウトの場合たんなる画像なので同じ画像にそのリンク先がある場合、同じ箇所に飛ぶことになる。階層を下るときに同じページなのは問題なし(例えば第一章第一節)。同じ階層で同じページへのリンクが並ぶときは警告(例えば第一章第一節第二節)。警告は無視すればよい。そして階層を上がるときに同じページだとエラーだ。たいていはそれでも問題ないのだが、自分の場合みっちり目次をつくりたいのでそれでは困るのである。固定レイアウトの本は目次をみっちりつくらないと使いモノにならない。

 書いてから二年たつが、kindlegen のバージョンは上がっていないのでこれは改善されていないはずだ。直ったのか?

 ということを書いて、質問した。わからないと言われたので、ごく簡単なサンプルを作って送った。送ったのだが、さきに書いたとおり、これは Amazon 本社謹製の kindlegen のバグもしくは「仕様」なのであるから、外資に喜んで使われてるような Amazon JP の買弁にどうこうできる問題でもない。ということでできるのかなーとニヤニヤしながら返事を待っていた。期限を切って回答するということだったが、お盆中に期限が来ると、まだ調査中ということで期限が示されないままそのうち回答するということだった。

 買弁だのなんだのと好きなことを書いておいたが、これは Amazon 本社がどううけとるかという問題なので一支社でしかない Amazon JP がどうこうできるものでもない。ただ、Kindle の先行きをみると、受けいれられそうな余地があるのはたしかだ。

 Kindle の新バージョンについてだが、漏れ伝わる中では Kindle PW マンガバージョンの北米版が出るという話がある。また、7.8インチ版が出るという話もある。どっちも噂程度の信憑性しかないが、その方向が示すものは固定レイアウトへの展開の可能性だ。テキストだけの電子書籍だと画面が大きい必要はない。スマホKindleアプリでも十分だったりする。しかし固定レイアウトの本をみようとすると画面が大きい方がいい。判型の大きいマンガはもちろん、辞典図鑑となれば大きくないと読みづらい。2010年代前半はまだタブレット的なものは普及途上だったが、2010年代後半となると中国企業自体が下請けから生産の主役に躍り出て安値でバンバン出るようになりタブレットの普及は加速した。ソニーも13.3インチの電子ペーパー端末 DPT-RP1 を出したが、相当な値段するのに飛ぶように売れている。Kindleはその昔 大きめの端末を一度出したことがあるが、その後は6インチで抑えていた。しかしここでまたデカい端末を出してくるかもしれない。そうなればついでに自分が上で挙げていたような点も改善されるかもしれない。そのときはよろこんで html目次を削除するだろう。