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君見ずや出版 / 興味次第の調べ物置き場

新刊案内

君見ずや出版 - KimiMizuya -
 今週は寒くなったせいか調子がでてきて15冊つくりました。一日二冊以上のハイペース。まぁ昔つくったシリーズを増やしたりして水増ししてます。京都市の無料wifiのおかげでファイルを増やすことができたと言っておく。IT僻地のつらさよ。。。

 井上安治・小林清親『東京名所』明治9-22
 東京名所絵とか光線画とかいわれた横向き小版画の風景画。小林清親がこのスタイルを開発し、弟子入りした井上安治が明治14年以降ひきつぎ、死ぬまでつくりつづけたもの。明治10年代といえば月岡芳年風の神経質な絵が人気でしたがその一方でこういう叙情的なものもあったんですね。昭和になってから再評価されてます。印象派とも同時代なので比較するのもおもしろい。実はこれKindleアーカイブでアマゾン様がおなじものを出してるんですが、国会図書館にあるものは個人が本にしたてたもののようで、一冊に10枚しか入っていないものが10冊並んでいる。それをそのまま10部出すという芸のないことをしているのでちょっとやってみました。機械的に大量にやると手抜かりがあるという例ですね。まぁしかしアマゾン様も審査を通してくれてるので謎ですねー


 小川一真『東京風景』明治44年(1911)
 日本の写真家の草分けの一人・小川一真(1860-1929)による明治末の東京風景写真帖。これは風景の他に人がうじゃうじゃいるところの写真もあってポイントたかいですな。写真帖はほかにもあるけど微妙なのが多くて出すのも躊躇する。

 小川一真『日本百景明治29年(1896)
 こっちは明治20年代または19世紀末の日本の風物集です。まぁ景色がメインですけど人物もまじってます


 
 時事新報社『日本美人帖』明治41年(1908)
 日本初の素人ミスコンテストとして有名な時事新報の全国美人写真審査の結果をまとめたもの。一応シカゴトリビューンの世界美人コンテストの一部ということで、日本一位の人は世界六位になったそうな。一位の人のその後もわりと有名です。学習院を退学になったとか伯爵夫人になったとか。


 小川一真『京都大坂今様美人風俗』明治36年(1903)
 上のは素人美人コンテストというのが破格だったというだけで、玄人の美人帖というのは既にあったわけです。そーゆーわけで小川一真先生の玄人カタログも本にしてみました。京都祇園・大坂北新地などの玄人さんの写真です。まぁ上とみくらべるとおもしろいですな。

 万国寝台急行列車会社『西比利亜鉄道旅行案内』明治44年(1911)
 運行会社によるシベリア鉄道旅行ガイドブックです。当時日本からヨーロッパに行く最短最速の経路がシベリア鉄道だったわけで、このガイドブックも敦賀ウラジオストクシベリア鉄道→ヨーロッパという構成です。ロシアはただの経由地ですな。ロンドンが最終目的地で、航路で行く簡単な案内までついてます。大連からハルビンで乗りかえるルートは支線としての扱い。最後には外人向けの日本旅行案内(英語)まで付いてます。

 将棋新報社編輯部『名人詰将棋百番』大正元年(1912)
 江戸初期の初代大橋宗桂(初代名人,1555-1634)から明治の小野五平(12代名人,1831-1921)までの名人10人による詰将棋100題。指将棋が文章なら詰将棋は詩歌、という位置付けだったそうで、江戸時代は名人になると詰将棋を100題つくって将軍に提出するのが習わしだったらしい。そういうわけで詰将棋はくさるほどある。将棋新報社では名人10人の作品からそれぞれ10題をよりだし100番として出版した。

 文部省音楽取調掛『小学唱歌集』明治14-17年(1881-84)
 日本最初の学校教育用唱歌集。文部省は音楽教育開始のために伊沢修二(1851-1917)を音楽取調掛に任じたその成果がこれ。「仰げば尊し」など今でも歌われる唱歌が結構はいっている。

 南郷次郎『女子護身法』昭和19年(1944)
 護身という目的のために作られた女性柔道の本。海軍少将(最終階級/当時は予備役)・南郷次郎の作。豊富な写真で説明してはあるが基本のみで実用的とはいいがたいかも。

 売文社編輯局『三宅雪嶺美辞名句集』『徳富蘇峰美辞名句集』大正6年(1917)
 社会主義者の糊口のための出版社、その名も売文社が小銭稼ぎのためにつくった美辞名句集の一部。前にも出したものの続き。まだあるので気がむいたらつくります。



 大阪朝日新聞経済部 『商売うらおもて』『商売うらおもて続編』大正14,15年(1925,1926)
 大阪朝日新聞の人気連載を本にしたもの。各種商売のうらおもてを取材したものだが、大阪だけあって銭にこまかい。それにかなり辛辣で今こんな記事書いたら叩かれたり訴えられたりしそうです。



 東京市社会局『日傭労働者の日記』『日傭労働者の日記 二』昭和3,4年(1928,1929)
 東京市社会局が日雇い労働者の生の声をあつめる目的で日記を書いてもらったもの。書いてる方も自由に書いてます。でもこれは誰も買わんだろうなぁ。プロレタリア文学とかいうやつはただのグロ小説ですがこれは本物です。