メモ@inudaisho

君見ずや出版 / 興味次第の調べ物置き場

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君見ずや出版
 この一年くらい調べ物ばっかりやってあんまり本出してなかったのだが、その間にKindleアーカイブがどれくらいカバーしたのかをみると、もう約8000タイトルになっている。ネットでKindleアーカイブを紹介した記事をさがすと2015/10の約一年目の時点で5000程度らしいからペースを落とさず着々と電子書籍化しているようだ。砂漠化が進んでいる荒野で農業している感覚だな。国会図書館デジタルライブラリ横流しという荒野に迫るアマゾン沙漠。収入も数万円と途上国並だから当然か。



 安達吟光、鳥居清貞『大江戸芝居年中行事』明治30(1897)
 歌舞伎の年始から年末までの行事を描いたもので、幕末の舞台周辺の様子がしのべる。解説もついているが翻字しなかった。署名から少なくとも鳥居清貞と安達吟光の二人が絵師として参加しているが、吟光の手の方がやわらかくて好み。



 歌川芳艶『瓢軍談五十四場』
 幕末の浮世絵師歌川芳艶(一英斎芳艶)による太閤記。江戸時代なので憚るところがあって、「此下宗吉郎」「尾田春長」「武智道秀」と微妙に名前をいじってあります。
 歌川国芳門下でも明治になる前に死んだこともあって無名です。パっと見の色合いがなんとなく気にいったのでついつい電子化したのですが、部分部分をみるとそれほどでもない。でも全体をみるとなんとなくいい。構成力なんでしょうね。

 桜井忠温『肉弾』明治39年(1906)
 日露戦争の旅順要塞攻略戦の第一次総攻撃に参加した桜井忠温の実体験にもとづいた小説。この戦場で日本軍ははじめて機関銃に直面する。その描写もなかなかおもしろい。「楯とも見るべき廣き鐵板を通して照準を取り、上下又たは左右に動かしながら引金を引くと、自動的に一分間に六百餘發の彈丸が繰り出されるのであるから、丸で彈丸の棒が砲身からでるやうなものである。」この本では機関砲となっている。
 かなり掃除をしたので国会図書館で公開されているものより読みやすくなっているはずです。



以上三冊。