メモ@inudaisho

君見ずや出版 / 興味次第の調べ物置き場

新刊案内

 君見ずや出版
 今週は二冊。白黒のときの画像形式によってはファイルサイズがかなり圧縮できることに気付いて遡って対応したりしていた。



 『足利季世記』
 室町時代後期つまり戦国時代を主題とした軍記物。史籍集覧からぬきだしてきました。応仁の乱の後から信長上洛まで。この時代は登場人物が小物っぽくて節操なさすぎるのであんまりみんな興味ないみたいですね。細川政元細川高国足利義輝三好長慶松永久秀とかキャラの立った人いっぱいいますよ。最近足利義輝が剣豪将軍とかいって持ち上げられすぎてたのでこのあたり探っている人もいるようで。フィクションが歴史への入口になるのはよくあることですな。太平記以後の軍記物を「後期軍記物」というのですが膨大な量であまり研究もすすんでないらしいんですがこの足利季世記はまだわりと研究されてる方で、元ネタにした本も何冊かわかってます。まぁ一冊でそこそこ把握できるのでこれを入口に前期戦国時代へ突入するのもよいのではないでしょうか。



 万年頼年・二階堂行憲・清範忠『難波戦記』
 こちらは大阪の陣を扱った軍記物のひとつ難波戦記。ええ。今頃「真田丸」狙いで出してきました。遅い。早稲田大学編輯部の『通俗日本全史』におさめられたものを採用しました。何がいいといって大正期の活字化なので読みやすいことですな。明治期に挿絵入りで活字化されてておそらく読み物としてはこっちの方がいいんですが明治の活字は変体仮名の知識がないとスラスラ読めない。
 難波戦記は写本でつたわるうちにいろいろ増補され異本がどんどん増えていったもので、この本は最終的に清範忠(生没年不詳)によって増補されたものの模様。『国書解題』に「難波軍鑑大全 十巻」清範忠 というのがあったのでこれでしょう。しかし、そのままではなくさらに30巻に分割されてます。
 大仏の鐘の銘からはじまって大阪城落城までが本体で、のち増補されて家光の二条城訪問までつづいてますがちょっと長いかも。増補のやりかたも付け足し付け足しなので同じ話を何回も繰り返して微妙な面もあります。



 まぁしかしこれからどうしたもんか。