カラー電子ペーパー ACeP
今年5、6月頃の報道によると、カラー電子ペーパーはそのころ量産の準備を終え2018年末ごろには販売されるということらしい。
台灣全彩色E-ink ACeP電子紙快將完成量產準備 | 香港 UNWIRE.HK (2018/06/24)
事情通のGoodeReaderの5月22日の情報によると、eInk社(台湾 元太科技)が用意しているのは32インチと13.3インチで、我々個人ユーザがなんとか使えそうな13.3インチの方は1600x2500(150ppi)で登場するらしい。32000色越えとあるが15bit色ということだろう。
ACePについてはeInk社のページに技術の概要が図解されている。
このページの一番下にあるようにカプセルの中の4種の粒々をコントロールする技術に成功したらしい。CMYの透過三色と反射性の白一色。その上にのっている白黒+単色カラーの技術の延長上なんだろう。白黒のときは正負で単純だったが、三色の粒をコントロールするために電圧を変えて移動させる技術を確立し、そこから四種の粒をコントロールできるように発展させたというところか。しかしその説明GIFをみていると、4種コントロールするために複雑な運動をさせているようにもみえる。白黒なら一回で決まるところを何回か電圧を切り変えて予定の色まで持っていくようにみえるので、白黒の電子ペーパーよりも応答は遅そうだ。白黒16階調のときから粒の泳動制御が変わってないとすると、16 * 16 * 16 * 8 で4回電圧を切りかえて色が決まる可能性もある。その場合応答速度は4倍で、電子書籍リーダやディスプレイには厳しいかもしれない。ところでJDIとコラボして開発したという400ppi/600ppiの高精細電子ペーパーというのは出てくるんだろうか。高精細すぎて商用ベースには出てこないんじゃないかとも思っている。銀塩フィルムの白黒の方が高精細だったがより雑なカラーフィルムに一般市場を取られてしまったように、出しても採算とれないと判断されているかもしれない。まぁカラーの方の開発に集中するのは間違った判断ではないんだろう。
(20180927追記 正式にACePが発表されたようだが、切替に2秒かかるということのようだ。だからディスプレイ方面への販路を探してるんだろう。電子書籍端末に降りてくるのはまだまだ先か。)
(20181020追記 上の切替に2秒かかるというのは百度の掲示板のカキコミをもとにしたのだが、日本の展示会に出たのを見た人によると10秒くらいかかるらしい。)
フルカラーのEインク初めてみた。書き換えに10秒ぐらいかかるそうだけど、太陽光下で見やすいし、消費電力もゼロ。色域は新聞紙印刷よりちょっと良いくらい。使い道結構ありそうだ CEATEC2018 pic.twitter.com/cqgtn6SUsS
— その辺の人 (@create_clock) 2018年10月19日
EInk Acepフルカラー電子ペーパー凄かったな。カプセル内部にCMYと白のカプセルが入ってて、電圧制御で、一色ずつ重ねて多色表現している #CEATEC pic.twitter.com/GNVhRTm9U6
— 山岡 潤一 Junichi Yamaoka (@jun1chi) 2018年10月19日
(20190527追記 その後の開発で更新時間が3秒になったとすこし前に文石科技が紹介していた。この5月、アメリカや台湾で4つ展示会がありそこでお披露目されているはずだが、ネットに映像を上げてる人がいないのでわからない。ただし今年になって各電子ペーパー端末の画面更新速度の向上がみられるので、大枠の仕組みはかわってないけれど、白黒・カラー共通のロジックが改善されて全体に速くなったという可能性はある。)
(20190531追記 28日に「facebook の電子ペーパー関係のグループで台北の展示会に行って映像をアップロードした人がいるが、それをみるかぎりでは、上のTwitterの動画からそれほど進展はなさそう」と書いたが、その後「3秒きりかえに向けて準備」みたいな動画をあげた人がいて、それをみるかぎりでは、3秒ではなく6秒くらいだったがとにかく去年の秋よりは速くなっているようだ。さてどこまで速くできるか。)
Liquavista
その一方で Amazon は買収した Liquavista の事業を今年の3月たたんでしまったらしい。Liquavista のカラー電子ペーパーは色のあるオイルをつかうもの。
Liquavista はフィリップス(eink社の初期にも関係していた)が開発したもので、その後サムスンが買収したものの、Amazonがさらに買ってカラー電子ペーパーの技術に投資していたということだがこれを閉めてしまったということは eInk 社の ACeP に期待したんだろうか。
ちなみに白黒の電子ペーパーで考えると150ppiというのは雑にみえるが、カラーであればそこまでは雑ではないはずだ。数字だけみるとスマホが随分精細になってしまったのでしょぼくみえるが、今のノートパソコンの一般的な画素数であるフルHD(1920x1080)を基準に考えると15インチでだいたい150ppiになる。白黒の場合1ピクセルで表現できる色が16しかなく白黒なので余計に1ピクセルの角が目にはいるが、カラーの場合は上記のように万の単位の色を表現でき、さらに目と脳でいい感じに錯覚してくれるのでそんなに気にならなくなる。ひょっとしたらAmazon的には白黒の方は300ppiで十分でカラーも150ppiあったら合格程度に考えてるのかもしれない。カラーKindleが出てくる日が来るんだろうか。
Youngy Boox (PlasticLogic)
(2018/10/19 この記事やたら注目されているようなので文石科技の折衷式カラー電子ペーパータブレットの記事もどうぞ)
(2019/04/12 折衷式カラー電子ペーパーの製造者は PlasticLogic)
CLEARink
(2019/01/23 ここでは触れていない CLEARink が Lenovo と提携することになったのでその記事もここに追加)
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