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君見ずや出版 / 興味次第の調べ物置き場

零細個人事業主の確定申告のための帳簿の例

去年の収入概要

 去年の収入で一番大きいのは KDP ではなくて、いろいろ書いてたけど守秘義務でいろいろと消した仕事であるが、といっても一ヶ月も働いてないので KDP 1年分の稼ぎの倍はない。ただこれ両方足しても100万越えるか越えないかという感じなので今年はその仕事で取られた源泉税をとりもどせるかもしれない。

 一昨年1月の収入がでかかったのでその収入を確保するべく事業者登録したが、結果的にはその後もっとデカい収入が来てドカンと納税するハメになった。事業者で青色申告したのはしたがあんまりメリットないような気もする。そもそもあまり経費の観念がなく、消耗品費にできそうなレシートもぼんぼん捨ててしまっている。何のための青色申告か。

確定申告のための帳簿の例

 さて青色事業者となると帳簿をつけて保存しておかねばならないのだが、一昨年の分は仕訳帳と決算の試算表・損益計算書貸借対照表しかつくってない。去年の申告のとき、何を保存する必要があるのか税務署の人に聞いたが要領を得た回答はなく、ソフト的にやってるならそのソフトのデータを保存しとけばよいということだった。弥生会計みたいなものを想定してるんだろうが、自作でもいいようなので、表計算ソフト(エクセルではなくて LibreOffice の Calc)で仕訳帳つくってピボットテーブルで貸借の釣り合いを確認して最後に仕訳帳から試算表などひねりだしたわけだ。個々の仕訳さえちゃんとしてればその方式でなんとかなることがわかったのでこれは楽だとおもったが、去年確定申告してから何もせずそのまま放置していたので帳簿を締めて開くところからはじめることになった。来年また思い出すことになると面倒なので思い出しながらここにまとめとく。原則ははずしてないとおもう。流儀はいろいろあり、その流儀の作法で統一してやらねばならないのだが、税理士でもないのでそこまでいちいち書かない。これはあくまで一例です。

複式簿記

 複式簿記は金の出入りにラベルを付して分類し、金の流れを把握しやすくするテクで、今は世界標準の会計の基礎になってる。といってもいろいろ細かいところで国によって違いがあるようだが零細事業主にはあまり関係ない。そこまで複雑なテクもつかわない。税務署の調査が入ればおかしいところを教えてくれるだろうが、零細なので来てくれるかどうか。繰り返しになるが、帳簿は金の流れを把握しやすくするためのものなので、細かいルールがその都度どうかというよりは一貫性が大事になる。この年はこの出費をこれにしてその次の年はあれにしてというのが不正の温床になるわけだ。税務署の調査が入ったときでもルールがしっかりしててその通り運営していれば細かいところは別にして大問題にはならないとおもうが税理士ではないので許容範囲はわからない。

帳簿へのまとめかた

 KDP や原稿料、プログラマ的な仕事しか今までやってないので、ほぼバイトやってるのと同じ程度に月単位仕事単位で入ってくるカネを仕分ける簡単な帳簿になる。他の業種なら在庫管理や日々の売上管理・現金管理とかいろいろあるだろうがそういうのがないので非常に楽だ。

 前はいきなり仕訳帳に全部書いていたが、それだと間違えたときに探すのが大変になる。ということで金の入るところ出るところ別にまとめて書いて、それぞれできっちり入力チェックし、あとで全部仕訳帳にまとめるのが楽だった。つまり経路で押さえるということ。図で示すとこう。

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帳簿上の金の流れ概略図

 この図の一番のキモは事業主貸だ。事業主貸 = 自分の財布 としておけばかなりわかりやすくなる。要は私用の出費は全部そこにいれる。クレカで買い物した中に事業と関係ないものが混るとき、それも事業主貸にしてしまうと後は考える必要がない。口座から金を引き出してその中からなんぼか買って経費にするときも、一度事業主貸にしてしまって、そこから出すことにしたら単純化できる。口座とかカードが混用だと税務署に私生活の金の流れが筒抜けになる。それがいやなら口座・カードを分けることだな。これは自分の場合、事業の根幹で小銭を扱わないので現金を数えなくていいというのが大きな理由になる。レジの開閉するような人はこんなザル帳簿は無理だろう。

 帳簿を具体的にどういうふうに作ったかというと、

  • 売上高
  • 口座(ゆうちょ)
  • 事業主貸 (経費)
  • ガソリン (経費 按分)
  • カード別
  • 控除

 のシートをつくりそれぞれにまとめて書いたのを最後に合体した。売上は口座に振り込まれるが、それを一番最初に別に書き、その他のカード以外の金の動きを口座のシートにまとめる。その次に現金での金の動きをまとめる。ガソリンはそれだけで按分するので別にする。それからカードは別々に明細があるのでそれと口座の動きをまとめる。最後に控除の分は自分の財布から出てるので申告書Bに書きこむために別にまとめる。金の経路別に明細がでてくるのでそれをわかりやすくまとめるだけでこんなことになった。

 そもそもこの金の流れをなるべくシンプルに仕組んでおく必要がある。自分はあまり消費しないし事業の構造が簡単なのでそれまでの生活の延長上でこうしたが、消費が旺盛だったり事業の構造が複雑だったりすると、口座やカードを分けて管理する必要があるだろう。

 おそらくこんなに事業の構造が単純な人はそんなにいないだろうが、副業で KDP や簡単なアフィリエイトやってる人などなら参考になるのでは。

売上高・売掛金普通預金

 売上仕訳の具体例はこう。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
2017-12-31 売掛金 31740 売上高 31740 売上が立ったとき
2018-02-28 普通預金 31740 売掛金 31740 振込まれたとき

 KDPの場合金の振込が月単位なので、月末で売上が立ったことにしている。外国の売上は外国通貨なので、それが日本円にしてどれだけかはアマゾンの都合のせいで振り込まれるまで確定できない。だから12月分が2月末に振り込まれるまできれいにできない。その場合適当なレートで換算して立ててしまい、誤差をあとから修正するという手もある。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
2017-12-31 売掛金 31740 売上高 31740 売上が立ったとき
2018-02-28 普通預金 30009 売掛金 30009 振込まれたとき
2018-02-28 事業主貸 1731 売掛金 1731 振込まれたとき
(源泉徴収分)

 一昨年の仕事などはここに立替金など入ったので面倒くさかった。立替金は自分の財布をバイパスするだけなので問題ないのだが、普通預金が立替金の分だけ膨らむので怪しい。直接出金できそうな場合でもわざわざ立替金立てさせるような組織は小銭稼ぎの腐敗臭がするよな。

事業主貸・事業主借 経費 現金払の場合

 事業主貸は自分の財布だとするとわかりやすくなると書いたが、そこから出たものを経費にするには領収書やレシートを保存しておいて、事業主貸からあらためて引いてその経費の勘定科目を立てる。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
2017-04-17 事業主貸 16000 普通預金 16000 日用の金を引出
2017-04-21 旅費交通費 3168 事業主貸 3168 ガソリン
2017-04-22 消耗品費 108 事業主貸 108 ボールペン
2017-04-22 新聞図書費 540 事業主貸 540

 ガソリンは全部とりあえず旅費交通費に立てている。私用分もあるのでそれは決算のときにまとめて按分処理して戻す。按分というのは私用と業務用が混沌としているものの場合、割合を決めてそれぞれのにわけることで、その割合は自分で決める。なにか根拠があればよい。出費の都度按分する手もあるらしいがそんなのは機械的にやるならいいが表計算で適当にやってるときは面倒なので決算のときにまとめて按分することにした。端数で稼ぐほどの額でもなし。

未払金 経費 クレジットカード払の場合

 クレジットカードで買い物したものを経費に挙げる場合、借方に経費の勘定科目を立て、貸方に未払金を立てる。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
2017-10-06 通信費 390 未払金 390 wi2
2017-12-04 未払金 10000 普通預金 10000 引き落としのとき

 クレジットカードなどはまとめて引き落としになるのでパッと見釣り合わないが、計算したら釣り合う。こういうところの入力ミスは探しづらい。

 自分の金の出入りは単純なのでこんなもんですむ。ネットでモノを売り買いしてる場合は大変だろうな。

元入金・決算

 事業の開始のときに簿記で管理する普通預金売掛金・未払金の現在の額を立てるが、そのとき相手として元入金を立てる。

 決算のとき、試算表・損益計算書貸借対照表をつくるが、これは勘定科目を寄せるだけで簡単にできる。試算表に全部の勘定科目の借方貸方を転記して残高を計算する。ピボットテーブルつかうととよい。損益に関係する項目(売上と経費)を損益計算書、それ以外を貸借対照表に転記するとあら不思議、両方から当期純利益がでる。入力と計算があってればここまですぐに出る。

 按分についてだが、まとめて按分するものは損益計算書の横に整理記入の欄つくってやると楽に按分できる。まとめられないもの(たとえば自分の場合旅費交通費の中のガソリン代)は仕訳の中で年度末に按分の仕訳をいれる。整理記入したものも結局は仕訳帳の中に書きこむ。

 さて決算処理で元入金を損益と事業主貸/借で相殺して次の年に繰りこすとかしてもよいが、ここまで計算が合ってれば、また事業の開始のときとおなじように普通預金売掛金・未払金を立ててその相手に元入金を立てても同じことになる。最初にも書いたが事業主貸は自分の財布なのでその年度末までに私用に消えた額になり繰り越す必要はない。

控除・自家消費

 社会保険控除は自分の財布から出してるので事業の帳簿につけず、証明書だけそろえておけばよい。

 この帳簿は事業のためのものなので、たとえばおやつで何か買ったとか歯医者に行ったとかいちいちつける必要はないし個人事業主の場合福利厚生する相手がいないので福利厚生費などはない。(←これは間違いで自分のための福利厚生も理由がつくなら可能らしい) だれかと飯食いながら仕事の打ち合わせをしたときの食費は交際費にできるとおもうがまだ立てたことない。今回立ててみるかな。そういうと、家だと気が散るのでよくマクドナルドに行くのだが、それも費用にできそうな気がするな。レシート全部捨ててるから無理なのだが。レシートさえあれば何でも経費にできるという説もあるがよくわからない。

結果

 冷静に集計すると、去年の国保料が無茶苦茶高かったので、経費をひくまでもなく課税所得が消滅した。

フリーランス&個人事業主のための確定申告 改訂第13版

フリーランス&個人事業主のための確定申告 改訂第13版

自分でパパッと書ける確定申告 平成31年3月15日締切分

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