さて九州見物旅行からなんとか帰ってきてしばらくグズグズしていたらもう週末になってしまいました。ということで一冊あわててでっちあげときましたがそれはさておき昨日の日記に書いたとおりついに Amazon様ご自身が国会図書館デジタルコレクションの電子書籍化にのりだしてきました。まぁ目次もなく画像を並べてるだけでしかも江戸時代の本をそのままという素人お断り状態ですがなにしろ値段が100円です。もう国会図書館のただの本を横流しするだけで荒稼ぎしようとしていた心の卑しい人間たちには太刀打ちできませんね。そもそも荒稼ぎなんかできるようなものではなく、小遣い程度のカネをわたされて労力だけ吸いとられていく事業なので、そういう人たちはそのうち尻尾をまいて逃げていく(例:インプレス、ゴマブックス).... 残るのは物好きの趣味人のみ... とおもっていたんですが。いやはや。
Amazon様が赤字でもかまわずにこの事業をするのは無論コンテンツ不足をおぎなうためでしょう。漫画とかビジネス書みたいな本かエロのゲス本か素人の同人誌以下のKDPの個人出版ばかりでまともな読み物がすくない状態ではやはり読み応えと実績のある古い物にたよるしかない。青空文庫を投入したのも販促でやってることだし、国会図書館のこれもそうでしょう。要は目先のカネを拾いに来ているのではなくさらに市場を大きくするための餌を仕込んでいるだけなわけで、そこがインプレスとかゴマブックスとかとは違うところです。そりゃもう事業はつづきます。まぁもっとも最初は目先の金で釣った走狗でもある程度稼げ、Amazonもコンテンツが増えてwin-winとか目論んでいたのかもしれませんが Amazon だけ目的を達成して走狗はおまんまも食えないというのでは無理ですわ。
だいたい出版なんてのは、本を書いてる人はもうかるもんじゃないんです。えぇ。自分なんぞTさんとともに○談社の『○滸伝人物事典』とか作りましたがあれ8年くらいかかって自分がもらったの100万程度でっせ。ちなみに初版分を山分けしてたぶん多めにくれてそれ。あと最後に文章を縮めたNさんがTさんの山分け分からさらにもらっているのでTさんの取り分はさらに低いのです。まぁ名前はTさんのものだし後刷の分はTさんのものですが。それはともかく文化事業は金銭的儲けを考えたら計算にあわないということです。国会図書館の大規模デジタル化も税金投入でやってることですし。
まぁ金にならないのでこの先も Amazon がやっているようなペースでの電子書籍化はできません。
愚痴はさておき。
本部朝基『沖縄拳法 唐手術 組手編』大正15年(1926)
本部朝基(1870-1944)は琉球王国の王族の一人で、その身分のおかげであらゆる沖縄の拳法家に師事できた。さらに実践で鍛えたために戦前最強の沖縄空手家とも言われている。(身分的に最強なのはまちがいない) 日本本土に空手を紹介した空手教育家の船越義珍とは違い実践を重んじた。当時はまだ「空手」の当て字はなく「唐手」であり中国拳法の色が濃かったが、本土に来てからしばらくのち大正の後半には約束組手なんかも整備されだした。印刷物としてわかる最古の約束組手がこれである。