メモ@inudaisho

君見ずや出版 / 興味次第の調べ物置き場

新刊案内

君見ずや出版 - KimiMizuya -
 まだ九州を自動車でさまよっていますがまともな社会人のみなさまにおかれましては如何お過ごしでございましょうか。ようやく佐多岬まで行ったのでとっとと北上しつつあるところです。

 昼間は移動して博物館/資料館をみて移動してのくりかえし、夜はそれをまとめて道の駅をさがして寝るということを繰り返していると本をつくる時間がなかなかない。ということでつくらないつもりだったけどなんか全然作らんのもなーということで一冊つくっておきました。

 大西斎『支那の現状』昭和3年(1928)
 当時朝日新聞支那部長だった大西斎が朝日新聞の当時の時局ものとしてこしらえたもの。この年は張作霖の爆殺によって蒋介石の北伐がほぼ完成した年でした。これがでたあと、張作霖の息子張学良が易幟し、北伐は完成します。その後も蒋介石軍閥退治の戦いはつづきますがこの年は画期の一つです。
 中国の近代史を当時の新聞記者がまとめたものとして有用です。たとえば今だと張作霖の死は関東軍の謀略の話ばかりになってしまいますが、この本はそういった方面にはつっこまずその結果どういうことになったかということが書かれています。当時話題の事件といったものが当時の視点で纏められているので時代の空気をつかむのには非常によい。
 ちなみにこの大西斎という人は緒方竹虎の同期で朝日新聞に入った人ですが、支那部長、さらには副主筆として日中戦争を煽りつづけました。近衛文麿のブレーンである「昭和研究会」には尾崎秀実とともに参加しています。そういう色眼鏡をかけてこの人の中国共産党関係の記述をみるとなかなかおもしろいものがありますね。


 今はもう延岡まで戻ってきているのでこのあと阿蘇山に行ったら今回の旅行は終了の予定。まぁしかし九州から京都の山奥まで遠い。