メモ@inudaisho

君見ずや出版 / 興味次第の調べ物置き場

中国がアメリカ陰謀論から引けない理由

中国が公式にアメリ陰謀論を口にしだした

 なんでもCIAの陰謀にしてしまう人達がいるので、新型コロナウイルスアメリ陰謀論は1月にはすでにあったのだが、それをとうとう中国が公式に口にしだした。唐突で不思議に思う人達がいるかもしれないが、中国からするとそこまでしないといけない事情があるということでもある。自分のみるところをここから説明してみる。

武漢の事故はソ連史上のチェルノブイリの再演

 新型コロナウイルスの出所について、人工ウイルスという噂もあるが、それについては考えないことにする。わからないことはわからないとしておいた方がよい。実際の所はよくわからないとした上で状況的に一番あやしいのがよく言われている武漢のP4研究所の「中国科学院武漢国家生物安全実験室」だ。ここは蝙蝠が保持している未知のコロナウイルスなどの研究で最先端を行っていた。そもそもがSARSの再現を防ぐのが目的だから当然なのだが、中国中から蝙蝠をあつめてきて謎のウイルスを研究目的で蓄えていたのだから、その中に今回の新型コロナウイルスがありそれが漏れてしまったというのが「一番ありそうな悪意のない筋書」で、既に1月には指摘されている。早い段階から蝙蝠が元と言われていたのは、新型(というか未知の)コロナウイルスの研究が進んでいることを誇示して世界中に発信していたからでもあり、まっさきに疑われるのも当然となる。広東省の山奥でアウトブレイク発生ならよくある話で自然現象だからしかたない、になるのだが、武漢みたいな大都市でいきなり発生してしまっているのもまずい。実験室はP4レベルでも運用する人間がP4に対応してなかったといえばいかにも中国らしい話になってくる。

 まぁしかし「なーんだアハハ中国はお茶目だな」では済まないような全世界規模の大惨事が現在進行形で進んでいるわけで、もしそうだとすると、これはソ連史におけるチェルノブイリのような大事故になってしまう。体制に対する信頼の失墜につながり、ソ連崩壊のような事態を招いてしまうかもしれない。

糊塗するための拙速

 そもそも今回の新型コロナウイルス、潜伏期間が長い上に感染力が強いので、どこが発生源かを実際に確かめるのはなかなか難しい。データが少ない中での塩基配列解析では普通に流行してた新種のコロナウイルスが変異したものではないかという説もある。しかし状況的には武漢の研究所が一番あやしいので、素直にWHOに報告して普通の感染症対応をしているだけだと、研究所に注目があつまり、ソ連史におけるチェルノブイリの再演になってしまう。ということでここからは邪推であるが、この禍を転じて福となす計画が必要となる。中国共産党はそういうの得意で、そもそもそれで国をとったようなものだ。

 ところで中国は新疆ウイグル自治区チベット自治区で全人管理(弾圧)の実績があり、恐怖分子(テロリスト)を摘出・隔離するやりかたは、感染者の隔離に応用できる。であるから逆に世界に広めてしまってから中国が鮮やかに封じ込めを演出して英雄になるという他の国ではマネのできない逃げ方もできるのだが、そこで必要なのが元凶だ。鮮やかに封じ込めしただけでは発生源の疑いが研究所に残ったままになってしまう。というわけでアメリ陰謀論の登場である。

 しかし中国の手口にしてはちょっと拙速の観があるが、いずれ短期間で決めたことだろうからしかたない。チェルノブイリの運命を回避するためには、先手必勝で詰めていくしかない。なんせ習近平が把握したのが1月7日か1月22日かでも違ってくるがそこですら公には一度出した情報をごまかしている。22日だと対応の遅れを指摘されるし7日だと武漢封鎖の23日まで何をしていたと変な目で見られる。であるからそのへんは曖昧にしてごまかしつつ、2月~3月にかけてはアメリカ起源論を補強するような情報が公式ではないルートで出てきていた。であるからいきなり鍾南山がでてきて武漢封鎖を指揮したといわれても本当か?と疑いの目でみてしまう。

 まぁしかしこういうのは消えないんだよね。

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歴史の必然ごっこ

 さて、現代の事象を過去の歴史の中の似たような事象に重ねるという遊びはおもしろいもので、その図式化した歴史のパターンを持ってきて歴史の必然とか大真面目に言ってた時代があったのもわかるが、そういう認識自体が人間が昔から繰り返してきたものなので仕方ないのかもしれない。とはいえ、似たような組織は似たような成長・腐敗・没落をしていくということはあるだろう。今の日本でも安易に「大本営発表」「インパール作戦」「ナチスの手口」「アイヒマン」とかいうふうに歴史のアナロジーを使って偉そうにものを語る人はそこそこにいることからもわかる。「歴史の必然ごっこ」の本質は権威で物を語ることなので、偉くなった気分がするからやめられないんだろうね。ということで歴史の必然ごっこを自分もやってみたことがある。これ↓。

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 中国共産党の政権をソ連と明で単純に比較したもの。ただ今の中国はソ連末期とは違って経済は好調だったし、さすがに明のように戦争で無謀なことをしてしまうようなことはないと思っていたので、中国共産党は中国史上の新しい先例を作るかも?とは見ていた。*1

 ところが今回チェルノブイリのような大事故を起こした上に、それを糊塗するためにアメリカに突っこんでいってる。明の英宗の土木の変のようなことになりそうなので、いきなり胸の熱い展開になってきた。しかもこれ、引いてしまうと中国の責任になってしまうから引くに引けない不退転の戦いである。まさか上で書いた予想表が両方とも成就するとは思わんかった。

 まぁもっともこれからは中国の世紀だからこれで中国が勝つと予想する人がいるかもしれないがさすがに無理筋でしょ。あんなやばいウイルス撒いた当事者がノーガードでろくに把握もできず順調に死者増やしてるのはおかしい。

*1:中国共産党からすると明じゃなくて清といわれたいようにみえるが、組織の性質からいって明だろおまえら。